【11月12日 AFP】デンマークでは13日、総選挙の投票が行われる。同国は欧州で最も厳格な移民規制法を有しており、移民・難民政策が主要な争点となっている。

 人口540万人に占める国籍未取得の外国人移民は5%に過ぎないが、国内では外国人、特にイスラム教徒の移民を巡る議論が起こっており、移民の社会統合には頭を痛めてきた。

 同国は経済が好調で労働力不足が拡大しているが、発展途上国からの移民たちは失業率も非常に高く、犯罪統計での過剰露出によるイメージの悪さにも悩まされている。

 アナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)首相率いる自由、保守両党による右派連立政権に閣外協力している極右のデンマーク国民党(DPP)は、罪を犯した移民の国外追放さえ主張している。自由党のカレン・イエスパーセン(Karen Espersen)社会相も、閣僚を務めていた2000年に、罪を犯した移民を無人島追放にするべきと発言するなど、同様の措置を求めている。

 新聞では、デンマーク生まれの若者に比べ移民の若者の方が犯罪率が高いとする統計がよく取り上げられる。今回の選挙の1週間前にも、無料新聞が「移民の若者がデンマークの治安を悪くしている」と報道した。

 デンマーク警察によると、今年首都コペンハーゲン(Copenhagen)で武装強盗や暴力事件で送検された未成年のうち3分の2が、移民の若者だったという。

 このような反移民感情が2001年、2005年の自由・保守連立のラスムセン政権誕生の追い風となった。2001年に政権を握った直後に欧州で最も厳格な移民規制法を導入し、移民や難民の国内流入が困難となった。

 前週発表された世論調査では、現行の移民規制法を維持するまたは規制強化を求めると答えた人は国民の54.6%に上った。(c)AFP/Slim Allagui