【11月10日 AFP】国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は9日、気候変動の実情視察のため南極を公式訪問した。国連事務総長としては初めて。

 就任以来、気候変動対策を最優先課題に掲げてきた潘事務総長は、チリ南部のプンタアレナス(Punta Arenas)からチリ空軍のC130輸送機で南極のキングジョージ島(King George Island)に到着した。

 事務総長はチリの観測基地、エドアルド・フレイ・モンタルバ空軍基地(President Eduardo Frei Air Force base)で研究者らから説明を受けた後、Collins Glaciers(氷河)と韓国のセジョン基地(Sejong Research Centre)を訪れた。

 研究者らからは、地球温暖化の影響による南極および南アンデス山脈での氷河の減少について説明があった。ほかには例としては400平方キロメートルもの大きさがありながら、わずか20日で消滅したラルセン棚氷(Larsen platform)も、挙げられた。

 事務総長は、小型双発機で上空から同島を視察し、途中、毎年10メートルずつ縮小しているCollings Glacierに降り立った。

「われわれが見たもの全ては、感動的で美しく、きわめて美しいが、同時に、われわれを不安にさせる真実でもある」視察中に事務総長は述べた。

 上空からの視察の後は、ボートで湾を渡り韓国の研究者らが南極観測を行っているセジョン基地を訪れた。

 最後はエドアルド・フレイ空軍基地で、国際社会に対して、地球温暖化の進行を阻止すめるために行動を起こすよう求める声明を発表し、2時間半におよぶ公式訪問を締めくくった。

「我々にはリソースがある。技術がある。資金もある。我々に不足しているのは政治的意思だけだ。私の訪問の目的は、そのような政治的意思の奮起を期することにある」(潘基文事務総長)

 事務総長は一旦プンタアレナスに戻り、次はブラジルに向かう。(c)AFP/Ramiro Pellet Lastra