【11月9日 AFP】プロサイクリングレーサーのミカエル・ラスムッセン(Michael Rasmussen、デンマーク)は、コペンハーゲンで記者会見を開き、7月に行われた2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)開幕前の自身の所在地について、うその証言をした事実を認めた。

 ラスムッセンは2007ツール・ド・フランス開幕を控える中で、実際はイタリアに滞在していたにもかかわらず、メキシコに滞在していたと当時所属していたラボバンク(Rabobank)に対しうその報告をしていたが、この日の会見でチームもラスムッセンがメキシコにいなかった事実を把握していたと明かした。

 会見でラスムッセンは世界反ドーピング機関(World Anti-Doping Agency:WADA)が欧州に滞在していたラスムッセンに無作為でドーピング検査を行おうとした際、メキシコにいて受けられなかったと主張し続けてきたが、会見でうその証言をしていたと認めた。

 しかしラスムッセンは、「私は自分の私生活を守るためにうそをついたんだ。実際の問題は夫婦間のことだが、私はそのことに関しては深く言及するつもりはない。だからみなさんにも私の意思を尊重してもらいたい」と話し、それ以上の事実に関しては言及しなかった。

 国際自転車競技連合(International Cycling Union:UCI)は、選手はいかなるときも常にドーピング検査を受けられる状態でいるようにと定めているが、ラスムッセンは2007ツール・ド・フランス開幕の18か月以内で数回にわたり、異なる団体によるドーピング検査を受けていなかった事実が発覚したため、大きな疑いがかけられている。

 当初ラボバンクは、ラスムッセンを全面的にサポートする姿勢を示していたが、同大会主催者をはじめラスムッセンの同大会への参加に抗議活動を行うファンらによるプレッシャーに態度を変更。ラスムッセンを大会から追放した。

 ラスムッセンは、「私はメキシコには滞在していなかった。チームもそのことを知っていたんだ」と話し、問題とされている期間にチームからフランスに旅行するための費用を受け取っていたことや、チーム関係者と連絡を取っていたことなどを挙げ、ラボバンクがラスムッセンの所在地を把握していた事実を証明できるとした。

 ラボバンクから解雇されたラスムッセンは現在、ラボバンクが契約違反を行ったとし補償を求めている。またラボバンクは12日にこの件に関する中間報告を行う予定となっており、ラスムッセンに供述を促す構えでいる。

  ラスムッセンは疑いを持たれているエリスロポエチン(Erythropoietin/EPO)の使用に関して、「私はこれまでドーピングをしたことなどない」と否定している。 (c)AFP