【11月2日 AFP】米国の科学者チームがネコゲノムの解析に成功した。ほ乳類としては7種目となるネコゲノムの解析によって、ヒトの遺伝病の研究が飛躍することが期待される。10月31日の米科学誌『ゲノム・リサーチ(Genome Research)』に研究報告が発表された。

 DNAのサンプルを提供したのは、4歳になるアビシニアンの「シナモン」。

 調査結果によると、「ネコゲノムと、すでに解析されている6種類のほ乳類のゲノム(ヒト、チンパンジー、マウス、ラット、イヌ、ウシ)を比較し、2万285個の推定遺伝子が特定された」。またこの比較の結果、1億年前に恐竜と共存していた小ほ乳類の祖先から分岐したさまざまなほ乳類の、数百におよぶ染色体再配列についても明らかになった。

 飼い猫の研究はヒトの疾病の研究に役立つとみられており、ゲノム解読によるさらなる医学的進歩が期待できる。

 ネコゲノムの解析プロジェクトは、ネコをモデルとしたヒトの疾病研究を目的として、3年前に国立ヒトゲノム解析研究所(National Human Genome Research Institute)が着手した。

 飼い猫には250種以上の遺伝性疾患があり、その多数はヒトの遺伝病と類似している。特に注目を集めているのは、エイズ(AIDS)を引き起こすHIVウイルスや網膜色素変症と、「猫免疫不全ウイルス(FIV)」との関連だという。米国では網膜色素変症により、3500人に1人の割合で失明患者が出ている。

 研究チームを主導した米国国立癌研究所(US National Cancer Institute)のスティーブン・オブライエン(Stephen O'Brien)博士が6月に発表した別の研究結果によると、最初の飼い猫は1万年前に存在しており、中東でネズミを捕るために飼われていたとみられる。また、ネコ界のアダムとイブとなる10万年前の祖先の起源も突き止められているが、その当時からネコがヒトに飼いならされていたかどうかは定かでない。(c)AFP/Jean-Louis Santini

【関連情報】米科学誌『ゲノム・リサーチ』ホームページ