【10月31日 AFP】チャド東部で30日、子ども103人をチャドからフランスに密出国させようとして誘拐や共謀などの罪に問われているNGOメンバーら16人に対する抗議活動が行われた。

 フランスの援助団体「ゾエの箱舟(Arche de Zoe)」のメンバーとジャーナリスト3人を含むフランス人9人は29日、「市民権を侵害する目的で未成年を誘拐した罪」と「詐欺罪」で正式に起訴されたという。またチャーター便のスペイン人乗員7人なども、子どもたちを国外に移送しようとした「共謀罪」で起訴された。

 抗議デモでは数十人がアベシェ(Abeche)の裁判所前に集まり、NGOメンバーらに向けて「泥棒」「殺人者」などと叫び、さらに旧宗主国フランスに対しても「共犯者」と非難した。

 NGOメンバーらは首都ヌジャメナ(N'Djamena)に移送されるまで、アベシェの裁判所の不衛生な部屋に拘置されている。NGOメンバーは消防士のズボンをはき、脱出作戦の名前である「Children Rescue」とプリントされたTシャツを着ており、スペイン人女性乗員は涙をこらえている様子だったという。

 コルシカ(Corsica)島で会見したニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は、NGOメンバーらの行動について「間違っている」とあらためて非難する一方、「事態解決と真相究明に向けた協議を続ける」考えを示した。

 欧州連合(EU)は11月上旬に、最大4000人の部隊をチャドと中央アフリカ共和国の国境地帯に派遣し、ダルフール紛争による難民対策を行う予定だが、チャド政府は30日、この誘拐未遂事件による影響はないと強調した。また、チャドにいる他のNGO関係者の安全は保証するとして平静を呼び掛けた。

 EUの派遣部隊は国連(United NationsUN)の警察部隊300人を支援し、ダルフール難民およびチャド国内難民のキャンプの監視任務に当たる。チャド国内にはダルフールからの難民23万6000人のほか、国内難民が13万7000人発生している。(c)AFP/Sonia Rolley