【10月25日 AFP】3年前の火災により大規模な被害を受けたドイツ東部ワイマール(Weimar)のアンナ・アマリア図書館(Anna Amalia Library)が24日、長期にわたる修復を終え再オープンを迎えた。

 1562年に建てられた同図書館の建物は、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されているもの。2004年9月に漏電が原因で起きた火災により、屋根裏とロココ様式のホール、および全蔵書の約20%におよぶ5万冊が焼失したほか、6万2000冊が損傷。また、消火のために使用された35万リットルの水で、建物はさらなる被害を受けていた。

 燃焼したホールの再現に1300万ユーロ(約21億円)、被害を受けた貴重な図書の修復・交換には数百万ユーロが投じられた。膨大な修復費用をまかなうため、世界中から2100万ユーロ(約34億円)もの寄付金が集められた。

 同図書館のMichael Knoche館長によれば、同図書館は2015年までに5000万ユーロ(約81億円)をかけて残りの蔵書も完全に復元する予定。
 
 火災を逃れた図書の中には、宗教改革の中心人物マルティン・ルター (Martin Luther)が所有していた聖書(1534年版)もある。一方、天文学者コペルニクス(Nicolaus Copernicus)の100万ユーロ(約1億6200万円)以上の価値があるとされている蔵書は、焼失してしまった。
 
 そのほか同図書館には、3900冊にのぼる世界最大のゲーテ(Goethe)の「ファウスト(Faust)」のコレクションや、中世の手書き写本2000冊、8400冊の歴史的地図なども所蔵されている。

 24日の再オープン記念式典にはホルスト・ケーラー(Horst Koehler)大統領も出席。「文化国家としてのドイツにとって喜ばしい日」だと語り、ワイマールの数世紀にもわたる文学の歴史を称賛した。(c)AFP