【10月23日 AFP】米ミズーリ(Missouri)州で女が妊娠中だった知り合いの女性を絞殺し、この女性の腹部を切り裂いて胎児を連れ去ったとされる事件で、カンザス(Kansas)連邦地裁の陪審団は22日、リサ・モンゴメリー(Lisa Montgomery)被告(39)に有罪評決を下した。心神喪失状態だったとする弁護側の主張は退けた。同被告は死刑を言い渡される可能性もある。

 事件は2004年12月に発生した。女児を妊娠中だったBobbie Jo Stinnettさんが自宅で絞殺され、胎内から取り出された赤ん坊が連れ去られた。その翌日、Stinnettさんの知り合いで、過去に何度も自分が妊娠したとうそをついた経歴のあるモンゴメリー被告が、知人に出産を知らせるカードを大量に準備しながら、この赤ん坊をあやしているところを見つかった。

 同被告は自分の兄弟に罪をなすりつけようとしたものの、すぐにStinnettさん殺害を認め、赤ん坊は自分の子どもだと主張するつもりだったと自供した。

 公判で弁護団は、被告は事件当時、自分が妊娠しているとの妄想を持っており、自分の行為の善悪の判断がつく精神状態ではなかったと主張。また、子どものころにひどい虐待を受けた経験もあるなどと訴えた。

 検察側は、被告が帝王切開手術の方法についてインターネットで調べるなど、数週間から数か月かけて犯行を計画していたと指摘。被告の精神疾患を主張する弁護側に対しては、被告がうそつきで人を操るのがうまく、うその妊娠話を利用してきたと反論した。

 犯行のきっかけとなったのは、被告の別れた夫が、妊娠についての被告のうそを暴露すると脅したことだった。最終弁論でRoseann Ketchmark検事補は「被告は自分が正しいとみんなに訴えたかったのだ」と述べた。

 検察側は、24日に始まる論告求刑で死刑を求刑する方針を明らかにした。求刑の審理には今回と同じ陪審団が当たる。

 評決後の会見でジョン・ウッド(John Wood)検事は「事件の唯一の救いは、(連れ去られた胎児の)Victoria Joちゃんが今は3歳になり、元気で父親と再会できたことだ」と述べた。

 被告はStinnettさんと2004年12月にカンザスで行われたドッグショーで出会った。インターネットでStinnettsさんの妊娠を知り、子犬を購入するとの名目で約束を取り付けてミズーリ州スキッドモア(Skidmore)にあるStinnettさんの自宅を訪問。Stinnettさんをロープで絞殺し、胎内からVictoria Joちゃんを取り出した。(c)AFP/John Shultz