【10月18日 AFP】ロンドンで12日に行われたサザビーズ(Sotheby's)のオークションで、1989年の天安門事件を描いた現代中国絵画が290万ポンド(約6億9000万円)で落札された。落札された絵画は、中国人画家、岳敏君(Yue Minjun)の作品で、タイトルは『Execution』。現代中国絵画の落札価格としては最高値となる。

 岳敏君の作品は、その数日前に香港(Hong Kong)で行われた現代美術品のオークションでも408万ドル(約4億7000万円)で落札。そのほかの画家の作品の多くも100万ドル(約1億1600円)以上の値が付けられた。

 最近オークションにかけられる中国の美術品の落札価格が高騰している背景には、高額の投資利益、そして中国関連のものに対する強い興味があると専門家は分析する。

■中国アートの落札価格が高騰中

 中国美術市場はわずか15年の歴史しかないが、その発展の速さは驚くべきものだと、サザビーズの中国美術部門を担当するJonathan Crockett氏は話す。「5年前なら岳敏君の作品は1万ドル(約116万円)で購入できた。それが今では100万ドル(約1億1000円)だ」

 サザビーズの最近のオークションの購入者の80%をアジア人が占めているという。「投資の好機を狙う購入者は多い。高い利益が得られることに気付いたからだ」とCrockett氏は見ている。

 画廊オペラ・ギャラリー(Opera Gallery)のロンドン店と香港店に勤務しているJoanne Hickton氏も、高値の落札額が高収益を狙う人々を引きつけているという説に同意する。

■背景にあるのは中国経済が急成長

 最高落札価格が付けられた岳敏君の『Execution』は、中国現代美術品市場の急成長を示す証拠の一つだ。この絵画は当初、香港のSchoeni Art Galleryから若い投資家が3万2000ドル(約372万円)で購入したものだった。

 中国経済の急成長により、この絵画に高価格が付く結果となったが、その経済成長が海外投資家を惹きつけ、さらに中国国内に新世代の購入者を生み出す要因となっている。

「美術品市場は、金融市場に1年から2年遅れている。中国経済が目覚ましい発展を遂げつつある中で、美術品のオークションでも記録を更新する高値での落札が起きているのだ」と、Crockett氏は指摘する。

■中国文化への関心の高まりも

 中国関連のものに対する興味の高まりにより、オークションに出品されるすべての文化遺産や古美術品が膨大な金額で落札されることになる。

 先日ニューヨークで開催されたクリスティーズ(Christie's)のオークションでは、陶磁器、ヒスイ、彫刻、性を扱った作品などが高額で落札された。18世紀の鼻煙壺のコレクションは400万ドル(約4億6000万円)の値が付けられた。

 多くの収集家や団体も、この動きに加わろうとしている。英国で最も有名な美術品バイヤーのチャールズ・サーチ(Charles Saatchi)氏は、2008年に新しい画廊をオープンさせる際、中国美術品の展示会を行う予定だ。サーチ氏はすでに、自身が運営するオンライン・ギャラリーの中国語版も立ち上げている。

 数年前まで中国絵画は一点も扱っていなかったオペラ・ギャラリーは、個人のコレクションから作品を集めるため、専門家を雇用した。同ギャラリーは次週、ソウル(Seoul)店をオープンさせ、さらに上海(Shanghai)店オープンも計画している。

 だが、どんな好景気もいつ崩壊するかは分からない。バブル期にはさまざまなうわさが立つが、価格が上昇し続ける間、投資家は増え続ける。そしてバブルが崩壊するまで、中国関連の品の価格は上昇し続けるはずだ。Hickton氏によれば、1年前は4万3000ドル(約500万円)だったアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の作品が、現在では20万ドル(約2330万円)の価格だという。作品に描かれているのはもちろん、毛沢東(Mao Zedong)だ。(c)AFP