【10月15日 AFP】チェコでは現在、これまでの「お手軽」ワイン路線を変更して、富裕層を対象にした最高級ワインの生産に取り組むワイン生産業者が登場し初めている。そうした生産業者が作る最高級ワインは、農園で買うと1本42ドル(約5000円)、プラハ(Prague)の高級レストランではその倍以上の価格になるという。

 同国南東部、モラビア(Moravia)にある5ヘクタールのワイン農園「Stapleton-Springer vineyard」を父親と経営するPavel Springerさん(42)も、その一人。「チェコの消費者の大半は、普段飲むワインに200コルナ(約1200円)以上払いたいとは思わないが、裕福な人たちは最高級品を欲しがる。そうした人たちがわたしの顧客だ」と話す。

 Springerさんが生産する2種類の赤のブレンデッドワイン、「cuvee Skale」や「cuvee Springer」は、収穫の際、一房ずつ手で摘み取り、ビンテージワインをフレンチオーク樽で熟成するなど、出荷までに非常に手間がかかる生産方法だ。このため高価格になるのも「ごく当たり前のこと」だという。大量産はしていないため、生産量は極めて少ない。

 Springerさんのワインは既にプラハの最高級レストランのワインリストに、ボルドー産のグラン・クリュ(最上級格付け)の銘柄と同じ価格帯で、ほかの地元ワインと並んで載っている。ボトル売りは税抜きで499コロナ(約3000円)から。他銘柄のワインとの類似点は一切否定しているが、同園のワインボトルのラベル・デザインが、フランスの有名なムートン・ロートシルト(Mouton Rothschild)のラベルと似ていることは認めている。

 Springerさんは、近隣に暮らすいとこのJaroslav Springerさんとともに、元プラハ駐在米大使(現フランス米大使)のCraig Roberts Stapleton氏と組んで最高級ワイン市場を狙っている。大使による資金提供で、生産設備の近代化し、フランスのシャトーの生産ラインと同レベルのものにしたという。「畑での作業からボトルの設置まですべてが高品質と独自性を目指している。どんな妥協もされない」とSpringerさんは自身のウェブサイトは唱っている。

 モラビアで110ヘクタールの高格付けワイン農園を経営する同業者、Petr Marcincakさんも、Springerさんに賛同の意を示す。「ワイン農園と醸造所のアップグレードには多く費用と労働とエネルギーを必要とする。わたしが目標とするのは、質であり量ではない」と話し、「チェコの高級ワイン市場は存在するが、その市場は成熟とはほど遠い状態だ」と指摘している。(c)AFP/Sophie Pons