【10月12日 AFP】(一部更新)ノルウェーのノーベル賞委員会(Norwegian Nobel committee)は12日、2007年ノーベル平和賞をアル・ゴア(Al Gore)元米副大統領と国連(United NationsUN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に授与すると発表した。

 地球温暖化が人為的原因によるとの事実の普及に務め、温暖化対策に向けた基盤作りの必要性を広く訴え続けた努力が評価された。

■映画『不都合な真実』などで地球温暖化問題の啓発活動、ゴア氏

 ゴア氏は、ビル・クリントン(Bill Clinton)前米大統領の下で副大統領を務めたが、2000年の大統領選でジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)現大統領に敗れ、以後、世界各国を回り地球温暖化の問題を訴えてきた。この経緯を追ったドキュメンタリー映画『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』は、2006年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞している。

 共同受賞者のIPCCは、大気科学、海洋学、経済学などの専門家約3000人が参加する国連所属の政府間機構で、科学機関としては温暖化問題に関する権限を有する世界トップ団体。

■ノーベル平和賞受賞者の傾向に変化?
 
 これまで平和賞は、人道対策や人権活動に対し授与されることが多かった。最近では、ケニアの環境活動家ワンガリ・マータイ(Wangari Maathai)氏(2004年)、貧困層への無担保小口融資制度を確立したバングラデシュのムハマド・ユニス(Muhammad Yunus)氏とグラミン銀行(Grameen Bank、2006年)などが受賞している。

 今回、環境活動に対し平和賞が授与されたことで、今後ノーベル平和賞の対象は、従来の紛争回避、軍縮活動などの分野から、さらに拡大することとなりそうだ。

■ゴア氏が受賞コメント、「非常に名誉」

 ゴア元米副大統領は同日、受賞についてコメントし、「非常に名誉なことだ」と謝意を示した。一方、IPCC代表のラジェンドラ・パチャウリ(Rajendra Pachauri)氏は「今回の受賞により、地球温暖化対策への関心と緊急性の意識が喚起されるよう期待する」と述べている。(c)AFP