【東京 16日 上間常正】マックスマーラ(MaxMara)は、欧州のプレタポルテの礎を築き、その発展と共に歩んできた。そして今も、トップエンドのファッション性をもちながらも、誇張のないデザインと確かな製造技術に裏打ちされた明快でバランスのよい服作りで独自のブランドイメージを保ち続けている。

 イタリア北部の美しい町、レッジオ・エミリアにマックスマーラが誕生したのは1951年のことだった。若き弁護士アキーレ・マラモッティが目指したのは、オートクチュールの美しさと工業製品の技術を結びつけることだった。曾祖母がこの町で人気のアトリエを経営し、母親は定評ある洋裁学校の設立者だった。アキーレは、高級ウールや綿などの丈夫な素材を使い、テーラーのカッティング技術を取り入れて、エレガントな婦人用コートやスーツを工場生産した。

 最初に作ったキャメルカラーのコートやゼラニウムレッドのスーツが評判になり、生産は急速に拡大した。マックスマーラの大きな特徴の一つは、デザイナーの名ではなく服そのものを前面に押し出したこと。デザインの段階からサンプル作成、裁断、縫製まで、デザイナーと社内の技術スタッフ、経営者の間で活発な論議が交わされ、そのグループワークによって服が作られる。

 こうしたやり方によって、トレンドですぐに陳腐化するような服ではなく、よりタイムレスで実際に耐久性にも優れた服を送り出すことにもつながった。その作業の中では、消費者のニーズをより的確に反映することも大きな課題となる。それがマックスマーラの服の時代の気分に合った着心地のよさにも反映している。

 1960年代の後半に登場したスポーツマックス(SPORTMAX)は、上下別々のアイテムを提案し、個別に買えることもできるようにしたことで、プレタポルテの歴史に大きな変革をもたらせた。生活スタイルの変化や顧客ニーズの多様化に応じた幅広い選択枝を提供し続けてきたのも、マックスマーラの特徴の一つだ。(c)MODE PRESS