【10月8日 AFP】コスタリカで7日、米国と中米6か国による自由貿易協定(CAFTA)への参加の是非を問う国民投票が実施され、小差で賛成が上回り、参加が支持された。

 CAFTAを推進してきたオスカル・アリアス(Oscar Arias)大統領は、同日開票後のテレビ中継演説で、「コスタリカ国民は自由貿易協定を支持した。神聖な願いを受け止めた想いだ」と国民投票の結果について満足感を表明した。

 投票率は60%で、結果が拘束力を持つために必要な40%を大きく上回った。コスタリカの最高選挙裁判所(Supreme Electoral Tribunal)によると、開票率90%強の時点で、賛成が50%強、反対が47.6%と拮抗(きっこう)しながらも支持派が勝り、反対派が優勢だった投票前の世論調査を覆す結果となった。

 CAFTAはすでにグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国で批准されていたが、コスタリカでは反対派も多く、3年間の議論の末、アリアス大統領は国民投票の実施を余儀なくされた。投票に先立ち米政府は、コスタリカが協定を拒否した場合、再交渉はしないと圧力をかけていた。

 貧困国が集まる中米地域の中で教育水準が高く、比較的裕福なコスタリカの国民の多くは、協定が批准されれば、公共通信や保険など収益性の高い国営独占事業分野が、外国資本に売却されうると懸念している。産業界も、人件費の安いニカラグアやホンジュラスなど近隣の貧困国に生産ラインの移転を余儀なくされるのではないかと不安視している。反対派はまた、多国籍企業がコスタリカのバナナやパイナップルを米国に輸出し、引き換えに国内市場を安い輸入農産物で満たすだろうと懸念している。

 コスタリカの財源の1割近くは観光によるもので、主要輸出品目はコーヒーや果物。常備軍は保有せず、米軍との防衛協定を結んでいる。2006年のコスタリカの対米輸出額は34億ドル(約4000億円)で、総輸出額の5分の2に相当する。アリアス大統領は投票前、自由貿易協定を拒否することは地域での最大の経済提携国を閉め出すことになり、「集団心中」に値すると警告していた。

 米ホワイトハウス(White House)は投票前日の6日、「協定はコスタリカが米市場に参入する機会を拡大し、米大陸で最も活力ある市場へのアクセスも創出するだろう」と、コスタリカに自由貿易協定の受け入れを要請していた。(c)AFP/Oscar Nunez