【10月5日 AFP】政府は4日、前年成立した改正出入国管理・難民認定法を施行する方針を固め、11月から同法に基づき日本を訪問する外国人に対し、指紋や顔写真など個人情報の提出を義務付けることを明らかにした。

 法務省によると、同法は11月20日から施行される見通しとなっており、16歳以上の全ての外国人に対し日本入国の際に顔写真の撮影と指紋の採取が義務付けられることになる。在日韓国・朝鮮人などの永住権を持つ外国人や国賓、外交官は対象外となる。また、日本に駐留する米軍兵4万人以上も対象外となる。提出された個人情報は犯罪捜査のために保管される。

 法務省報道官によると、同法は内閣で承認された後、11月20日から施行される予定だという。5日には正式決定される見通しとなっている。

 政府は、フランス出身のイスラム教武装組織のメンバー、リオネル・ドゥモン(Lionel Dumont)容疑者が偽造パスポートで入国し、武装組織のために資金集めをしていたとの疑いがあることなどから警戒を強めており、同法は日本の治安強化に必要なものだと強調する。また、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)は、自衛隊のイラクでの人道復興支援活動について、声明で繰り返し批判している。

 一方、野党や日本弁護士連合会(日弁連、Japan Federation of Bar Associations)は、同法はプライバシーの侵害にあたる可能性があるとして懸念を示している。

 また、在日本大韓民国民団(民団、Korean Residents Union)も、在日韓国人は対象にはならないものの、同法によってすべての外国人が犯罪を犯すとの見方を増長すると主張する。

 外国人観光客誘致に取り組む観光業界もまた、状況を見守っている。米国では、2001年に起きた9.11米同時多発テロを受けて、同様のシステムがすでに導入されているが、外国人観光客の反応はさまざまだ。

 犯罪率の低い日本では、短期滞在の場合、大半の先進国の国民に対してはビザを不要としているが、移住に関しては厳しい制限を課している。(c)AFP