【10月4日 AFP】女性が子どもを産むと乳がんにかかりにくくなるのは、赤ちゃんを守る特性を持った胎児細胞が子宮内で母親に受け渡されるためではないかとする説が、2日発売の医学誌「Cancer Research」10月号に発表された。

 米シアトル(Seattle)のワシントン大学(University of Washington)とフレッド・ハッチンソン癌研究所(Fred Hutchison Cancer Research Center)の共同研究チームは、胎児から母体に細胞が受け渡されるという現象(母子間マイクロキメリズム)に乳がん抑制効果があるかどうかを調べるため、女性82人(うち35人は乳がん患者)の血液を採取し、胎児のDNAが含まれる割合を調査した。

 その結果、胎児のDNAが血中に含まれていた割合は、乳がんにかかったことのある女性で14%だったのに対し、乳がんにかかっていない女性の場合は43%にのぼった。

 研究責任者は、「胎児細胞は母体に入ると、乳がんになりそうな細胞を見分けて破壊するのではないか」との仮説を立てている。ただ、同研究チームでは幹細胞に要因があるとする別の説についても調べており、今後もさまざまな角度から研究を継続する必要があるとしている。(c)AFP