【10月3日 AFP】ネパール王制の廃止がほぼ確実となる中、9月30日に発行された新500ルピー(約900円)札の透かしにギャネンドラ(Gyanendra)国王の肖像が刻印されていることが判明。国王の肖像を刻印した硬貨や紙幣を撤廃する試みは、思わぬところで暗礁に乗り上げた。

 通貨管理当局のManmohan Kumar Shrestha氏はAFPの取材に対し「透かしは紙幣印刷の初期段階で印刷された」として、新札の発注は国王の支持率が低下する前であったことを強調。「発注をキャンセルすれば銀行や国家にとって巨額のコストがかかるため、やむを得なかった」と説明した。

 新500ルピー札は、片方に2頭のトラ、反対側にエベレスト(Everest)が刻印され、さらに透かし絵を見えにくくするためにシャクナゲの絵が印刷されている。

 Shrestha氏は「国王の透かし絵は、上から国花の絵を印刷してあるので、わざわざ見ようとしなければ見えない」と強調した。

 国王が直接統治の断念を余儀なくされた2006年4月以前から、新札はインドネシアの印刷会社に発注されていた。2006年後半にネパールの最大与党は反政府活動を展開するネパール共産党毛沢東主義派と和平協定を締結。239年に及ぶ王制は廃止される見通しだ。(c)AFP