【9月27日 AFP】ベトナム南部ビンロン(Vinh Long)省で26日、日本の政府開発援助(ODA)で建設中の橋が崩落した事故の救出作業が難航し、死傷者数が確定できていない。

 ベトナムのグエン・ミン・チェット(Nguyen Minh Triet)大統領は27日、死者数を43人と発表した。また新たに負傷者が79人増えたとしている。一方で警察および国営テレビでは前日、死者52人と発表している。

 My Hoa村で建設中だった橋の上では、崩落事故当時、約250人が作業中だったが、橋のコンクリートが崩れて川になだれ落ち、多数が下敷きになった。
 
 ホー・ギア・ズン(Ho Nghia Dung)運輸相は、死者数の把握のずれについて「どうしてこんなに数が違うのか分からない。それぞれのメディアが別々の情報源を使用している」と述べた。

 労働省のNguyen Van Tien副工事検査官は、コンクリートの下敷きとなっているとみられる12人の救出には、シャベルやつるはしを用いているため作業の進行が遅く、犠牲者数の確定ができないことの一因となっているという。「コンクリートを切除することができない。コンクリートの平板の崩壊が進めば、下にいる人々が死んでしまうからだ。シャベルやつるはしといった簡素な道具で除去作業を進めるしかない」。

 橋は日本のODAで建設されており、全長16キロ。ハウ(Hau)川に架けられ、ビンロン省とカントー(Can Tho)市を結んでいた。オンライン紙「VNExpress」によると、建設は2004年9月に着工、2008年に完成する予定だった。

 現場周辺には40メートルにわたってコンクリートや巨大な鉄片などの破片が散乱しており、軍と警察が封鎖している。作業員らの家族や知人ら数百人が集まり、安否を気遣っている。周辺の病院にも作業員の消息を尋ねる人々が詰めかけている。

 下敷きにならずに避難することができた45歳の作業員はひとまず安堵(あんど)しながらも、「行方不明になっている人々に生存のチャンスがあると思えない。見つかったとしても、すでに死んでいるだろう」と落胆した表情で語った。

 ODAで建設プロジェクトに資金援助している日本の在ベトナム大使館では、日本人の死傷者に関する情報は得ていないとしている。

 チェット大統領は、救出作業を終え、現場を回復した後には、建設を続行すると明言した。「まずは現状を落ち着かせなければならない。しかし、プロジェクトを中止させてはならない」。(c)AFP