【9月27日 AFP】女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんは26日、ビル・クリントン(Bill Clinton)前大統領が主催しニューヨーク(New York)で開催された「クリントン・グローバル・イニシアチブ(Clinton Global Initiative)」の年次総会に出席し、イラク戦費の一部で多くの子どもに教育を受けさせることができると指摘し、行動の優先順位をつけ直す必要性を訴えた。

■「子ども15万人の教育費はイラク戦費8時間分」

「イラク戦争で400万人以上が難民となっているのです。世界の状況を全体でとらえれば、わたしたちが行っているやり方を修正する必要性が理解されると思います」

 ジョリーさんはこのように語り、国連児童基金(ユニセフ、Unicef)と国連難民高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for RefugeesUNHCR)が難民の子どもたちの教育に必要だとする金額は、米国のイラク戦費と比較してわずかな額だと指摘。

「ユニセフなどの要求額は、イラク戦費の8時間分に過ぎません。わずか数時間分の資金で15万人の子どもたちが学校に通えるのです」

 さらにジョリーさんは「教育以上に精神を育て、自由を与えてくれるものはありません。教育を受けた子ども以外に戦いを止められるものはありません」と優先順位を正すようを世界に訴えた。

 オスカー受賞女優で国連の親善大使も務めるジョリーさんは、紛争地域で暮らす子どもや難民の子どもたち100万人に対するおよそ1億5000万ドル(約173億円)の教育支援計画を発表している。

■「優先順位の見直しを」

 ジョリーさんがイラク戦争について批判的な意見を語るのは今回が初めてではない。

 6月のインタビューでは、イラク戦費について「わたしたちの優先順位はとても奇妙だ」と述べ、援助すべき状況には経費を支出せず、「結局はそれが戦争へつながり、さらに費用がかさむことになる」と指摘した。このほかにも、軍事費とエイズ(HIV/AIDS)対策基金を比較するなどしている。ジョリーさんは前月、イラク、シリア両国国境にある難民キャンプを訪れた。

「クリントン・グローバル・イニシアチブ」では、このほか地球温暖化や伝染病、貧困などの差し迫った問題についても話し合われた。(c)AFP