【9月23日 AFP】国連環境計画(United Nations Environmental ProgramUNEP)のアヒム・シュタイナー(Achim Steiner)事務局長は22日、カナダのモントリオール(Montreal)で開かれていたモントリオール議定書の締約国会合で、参加国がオゾン層の破壊や地球温暖化の悪化につながる化学物質の全廃に向けた動きを加速化することで合意したと発表した。

 合意した規制策のもとで、先進国はオゾン層破壊物質であるハイドロクロロフルオロカーボン(HydrochlorofluorocarbonHCFC)の生産を2020年までに全廃、途上国は従来の期限を10年前倒しして2030年までにHCFCの生産を全廃する。

 モントリオール議定書は、冷蔵庫や難燃剤、ヘアスプレーなどに使用されることが多いHCFCなどの化学物質の使用中止を目指して1987年に採択されたが、今回の合意によって、同議定書で定められたスケジュールが変更された形だ。当初の議定書と今回の合意は、オゾンホールの拡大を遅らせ、最終的にはオゾン層を回復させることを目的としている。オゾン層は、地球温暖化を加速化し、皮膚がんの原因ともなる有害な太陽光線から地球や人間を保護する働きをする。

■中国が合意

 シュタイナー事務局長は、HCFCをめぐる規制の前倒しで各国が合意に達したことは、気候変動に歯止めをかけるうえで「極めて重要なきっかけ」だとして合意を歓迎、前倒しを支持した中国の姿勢を称賛した。

 同事務局長は「今回の合意は、少なくともここ5、6年の環境問題をめぐる国際的な交渉においてはもっとも重要な躍進だ」と述べている。
 
 カナダのジョン・ベアード(John Baird)環境相は、190か国と欧州連合(European Union)が参加して1週間にわたって行われた締約国会合での成功について「地球温暖化との闘いにおける重要なステップ」と述べている。

 シュタイナー事務局長は、HCFCの世界最大の生産国であり消費国でもある中国が、規制の前倒しを支持したことを称賛、「われわれは、国際社会が特に中国のような国を支援する負担共有方式について協議している。新たな合意内容を履行するために大きな影響を受けるにもかかわらず、中国は、国際合意に達するために目覚ましい意欲を示した」と述べた。

■代替フロン、生産凍結と全廃の期限が前倒しに

 HCFCは、工業用冷却剤として使用されることが多かったオゾンの破壊力が強いクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbonCFC)の代替品として普及したが、締約国会合で合意した規制策では、生産の凍結と全廃の期限がいずれも前倒しされている。

 途上国は、HCFCの生産・消費を、2016年ではなく2013年までに凍結、2030年までに生産を全廃する。

 一方、先進国は、2010年にHCFCの消費を75%削減し、2020年までに生産・消費を全廃する。

 米政府は、規制の前倒しによって、オゾン層破壊物質の大気圏中への排出量が47%削減されるとの見通しを示している。

 UNEPは、モントリオールでの成功が、12月にインドネシアのバリ(Bali)で開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会合での議論に弾みをつけると述べた。

 また、ホワイトハウス(White House)は、地球温暖化問題との闘いにおける努力を後押しするとして、今回の合意を歓迎している。(c)AFP/Philippe Sauvagnargues