【9月19日 AFP】(記事更新)カンボジアの旧ポル・ポト(Pol Pot)政権時代の大量虐殺を裁くカンボジア特別法廷(Extraordinary Chambers in the Courts of CambodiaECCC)から人道に対する罪に問われているヌオン・チア(Nuon Chea)元カンボジア人民代表議会議長(82)が19日、警察および同法廷係官らにより身柄を拘束された。AFP記者が目撃した。

 移送に先立ち同日早朝、地元警察は特別法廷係官らの到着に備えて同国北西部パイリン(Pailin)のヌオン・チア元議長の自宅に通じる道路を封鎖。係官らが午前6時ごろ同元議長の自宅に到着し、同元議長は自動車で連れ出されヘリコプターでカンボジア特別法廷のある首都プノンペン( Phnom Penh)に移送された。
 
 ヌオン・チア元議長の親族がAFP記者に語ったところによると、係官らは元議長の自宅内を捜索し書類や手紙類などを押収したという。

 また元議長に近い筋情報によると、ヌオン・チア元議長は令状を提示されたがその具体的な内容は不明だという。
 
 1975年から79年の旧政権下でポル・ポト元首相の右腕を務めクメールルージュ(Khmer Rouge)の「ブラザー・ナンバー2」(Brother Number Two)と呼ばれたヌオン・チア元議長は、大量虐殺の最重要人物とみられている。

 しかし AFPが7月にヌオン・チア元議長の自宅で行ったインタビューで、同元議長は虐殺への関与を否定している。

 このほか同事件ではポル・ポト政権元幹部4人が訴追を予定されている。氏名は公表されていないが、キュー・サムファン(Khieu Samphan)元幹部会議長、イエン・サリ(Ieng Sary)元副首相らが含まれているとみられる。

 カンボジア人と外国人判事の合議制による特別法廷は、2008年開廷の予定。被告・容疑者全員が高齢なため、同法廷が旧ポル・ポト政権の罪を裁く最後の機会となるとみられている。(c)AFP/Suy Se