【9月18日 AFP】米ソフトウェア大手マイクロソフト(Microsoft)が、欧州の競争法違反として欧州委員会から課された制裁を不服として提訴していた裁判で、マイクロソフト側が敗訴し4億9700万ユーロ(約795億円)の制裁金支払いを命じられたことについて、米国業界関係者の間で判決が厳しすぎるとの反発がひろがっている。

 業界団体Association for Competitive TechnologyACT)のJonathan Zuck会長は、判決について「知的財産権保護を不確定なものとした。大小に関わらず全ハイテク企業にとっての暗黒時代の幕開けだ」と非難する。

 米ロビー団体Citizens Against Government WasteTaxpayers’ Allianceも、「判決は全世界における技術革新の流れに歯止めをかけるものだ」とする共同声明を発表した。

 全米商工会議所(US Chamber of Commerce)は、独禁法への対応が多様化することで多国籍企業の戦略が困難になるのではと懸念する。

 同会議所広報のStan Anderson氏は、独禁法の問題はグローバル経済が抱える典型的な問題の1つだとの認識を示し、全世界に100を超える独禁法取締まり機関が存在する事実を指摘。独禁法をめぐる問題は今後、さらに深刻化するだろうと予測する。

 一方、EUの厳しい判決とは対照的に、マイクロソフトは米国での反トラスト訴訟をほぼ無傷で切り抜けた。

 数年におよんだ米国での裁判では、連邦地裁でマイクロソフトを2分割するとした判決が下ったが、これを不服としてマイクロソフトが控訴。米連邦高裁で分割案は却下された。

 その一方で、マイクロソフトは競合他社に対する補償金として約40億ドル(約4600億円)を支払ったほか、依然として裁判所の観察下にある。(c)AFP