【9月17日 AFP】米国の独立環境団体が12日に発表した、世界で最も汚染が深刻な地域のトップ10で、今年はインド、中国、旧ソビエト連邦の工業地区が上位を占めた。

「世界で最も汚染された地域」トップ10リストは、ニューヨーク(New York)の「ブラックスミス研究所(Blacksmith Institute)」がスイスの国際NGO「グリーンクロスインターナショナル(Green Cross International)」の協力で発表したもので、中国東部の工業生産拠点、Tianyingとインドの工業都市Vapiが、今年新たに加わった。

 こうした汚染地域では、数百万人が有毒物質の脅威にさらされている。

 汚染の原因として同研究所は「採鉱、冷戦時代が遺した汚染、無秩序な工業生産が汚染の背景にある」と声明の中で述べている。

 インドのVapiは工業団地の密集する地域の典型で、土壌や地下水から殺虫剤各種や、発がん化学物質のポリ塩化ビフェニル(PCB)各種、クロム、水銀、鉛、カドミウムなど50種類を超える有毒物質が検出された。

 順位付けは、汚染の規模のほか、健康被害を受ける危険のある住民の人数を基準としている。

 ブラックスミス研究所のリチャード・フラー(Richard Fuller)所長は、「こうした汚染地域では、子どもたちが病気になったり、死に瀕している。汚染地域の回復は難しいことではない」と声明で述べた。

 調査報告書によると、2006年からトップ10に加わった旧ソ連時代の工業の中心地、アゼルバイジャンのSumgayitでは、工業化学薬品や重金属による汚染が続いている。

 そのほかトップ10には、中国北部、山西(Shanxi)省の臨汾(Linfen)のほか、インドのSukinda、ロシアのゼルジンスク(Dzerzhinsk)とノリルスク(Norilsk)、ペルーのラオロヤ(La Oroya)、ザンビアのカブウェ(Kabwe)、そして1986年の原発事故で放射能汚染されたウクライナのチェルノブイリ(Chernobyl)が引き続き入っている。(c)AFP