ウディ・アレン監督、「映画が人生の最大の目的ではない」
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【9月15日 AFP】15日に閉幕を迎える第32回トロント国際映画祭(32nd Toronto International Film Festival)に『Cassandra’s Dream』を出品したウディ・アレン(Woody Allen)監督が12日、記者会見に出席し、映画制作に対する独特の姿勢を語った。
■「映画は人生の最重要事項ではない」
1977年の『アニー・ホール(Annie Hall)』、1986年の『ハンナとその姉妹(Hannah and her Sisters)』、1996年の『誘惑のアフロディーテ(Mighty Aphrodite)』など、興行収入でも成功した数多くの人気作品を手掛け、映画史にその名を刻んでいるアレン監督。
しかし、多くの監督が細心の注意を払って制作する一方で、アレン監督は「(映画を)撮って、家に帰って、自分の人生を生きることが好きだ」と断言する。「ふざけていると思われるだろうが、わたしは熱心な映画監督ではない。怠け者なんだ。映画を作ることがわたしの人生の最重要事項ではない」
映画業界に入った理由についても、「最も薄っぺらい理由」、つまり「女性と知り合いたかったからだ」と明かす。「単調でつまらない仕事ばかりのつらい人生を送りたくなかったからなんだ」
■撮影方法や俳優との関係
自分の作品では自然さを求めていることにも言及。「リハーサルしたり、あれこれいろいろな方法で撮ってみようとするほど忍耐強くはない」
「わたしは完全主義者じゃない。壁にいろんなものを投げてみるのが好きなんだ。くっつくものはくっつくし、くっつかないものはくっつかないんだよ」と語り、初期の作品から同様の手法だという。
構築されていない即興によるアレン監督の撮影方法は、監督との仕事を熱望する俳優の多くに受け入れられている。『Cassandra’s Dream』に出演したコリン・ファレル(Colin Farrell)もその1人だ。
ファレルは、アレン監督には「全く技術がなく、それが素晴らしい。監督はそこにいて、ストーリーを語るだけなんだ」と賛辞を送る。
一方のアレン監督は、1968年から手掛けてきた数々の作品が成功したのは俳優陣の「見事な演技」のおかげだといい、「わたしが高く評価されるのは彼らのおかげだ」と賞賛する。
■映画より人生
業界では気難しく神経過敏と評判のアレン監督だが、私生活では家族を大事にする落ち着いた人物だという。「完ぺきな映画を作ることよりも、自分の人生の方が大切。家族や子どもたち、クラリネット、バスケット、野球、そのほか人生における取るに足らないもののほうが、映画よりも大事なんだ」
「映画についてじっくり考えることに価値はない。人生には映画よりも苦しいことがたくさんあるんだから」
■芸術性の自由を満喫してきた
近年のハリウッド映画の平均制作費は1本約4000万ドル(約46億円)なのに対して、アレン監督の場合は1本約1500万ドル(約17億円)前後で制作してきた。だからこれまでアレン監督は制作会社に芸術性を追求する自由を与えられてきたのかもしれない。
「わたしはこれまでとても運がよく、ちょっと詐欺師みたいでもあった。米国の映画業界で生きていながら、芸術性に関しては完全に自由でいられたからね。誰もわたしの脚本を読まないし、キャスティングについても口を出さない。常にわたしが最終決定を行ってきた」
さらに、冗談をいっていると思われてきただろうが、と前置きした上で、「わたしはよく言ったよ、『わたしと偉大さの間に存在するのはわたしだけだ』ってね」
■米国から欧州へ
ニューヨークはアレン監督の生まれ故郷であり、アレン作品の真の主役だと考えている批評家も多いが、近年、監督は撮影場所を欧州に移している。これについて監督は、ハリウッドの制作会社が監督の作品に対する関心をなくしていること、さらに英国、スペイン、フランス、イタリアなどの資金提供者が監督を大歓迎していることを理由に挙げた。
「(米国の)映画制作会社は、こう言い始めたんだ。『われわれはただ紙袋に金を詰めてあなたに渡し、あなたがわれわれに映画を渡すというのはもう嫌だ。映画が何を描いているのか、誰が出演するのかを知りたい』ってね。そのとき突然、ロンドンからお呼びがかかった。彼らは資金を与えてくれて、映画に誰が出演するかなんて、気にしなかったんだ」(c)AFP/Michel Comte
■「映画は人生の最重要事項ではない」
1977年の『アニー・ホール(Annie Hall)』、1986年の『ハンナとその姉妹(Hannah and her Sisters)』、1996年の『誘惑のアフロディーテ(Mighty Aphrodite)』など、興行収入でも成功した数多くの人気作品を手掛け、映画史にその名を刻んでいるアレン監督。
しかし、多くの監督が細心の注意を払って制作する一方で、アレン監督は「(映画を)撮って、家に帰って、自分の人生を生きることが好きだ」と断言する。「ふざけていると思われるだろうが、わたしは熱心な映画監督ではない。怠け者なんだ。映画を作ることがわたしの人生の最重要事項ではない」
映画業界に入った理由についても、「最も薄っぺらい理由」、つまり「女性と知り合いたかったからだ」と明かす。「単調でつまらない仕事ばかりのつらい人生を送りたくなかったからなんだ」
■撮影方法や俳優との関係
自分の作品では自然さを求めていることにも言及。「リハーサルしたり、あれこれいろいろな方法で撮ってみようとするほど忍耐強くはない」
「わたしは完全主義者じゃない。壁にいろんなものを投げてみるのが好きなんだ。くっつくものはくっつくし、くっつかないものはくっつかないんだよ」と語り、初期の作品から同様の手法だという。
構築されていない即興によるアレン監督の撮影方法は、監督との仕事を熱望する俳優の多くに受け入れられている。『Cassandra’s Dream』に出演したコリン・ファレル(Colin Farrell)もその1人だ。
ファレルは、アレン監督には「全く技術がなく、それが素晴らしい。監督はそこにいて、ストーリーを語るだけなんだ」と賛辞を送る。
一方のアレン監督は、1968年から手掛けてきた数々の作品が成功したのは俳優陣の「見事な演技」のおかげだといい、「わたしが高く評価されるのは彼らのおかげだ」と賞賛する。
■映画より人生
業界では気難しく神経過敏と評判のアレン監督だが、私生活では家族を大事にする落ち着いた人物だという。「完ぺきな映画を作ることよりも、自分の人生の方が大切。家族や子どもたち、クラリネット、バスケット、野球、そのほか人生における取るに足らないもののほうが、映画よりも大事なんだ」
「映画についてじっくり考えることに価値はない。人生には映画よりも苦しいことがたくさんあるんだから」
■芸術性の自由を満喫してきた
近年のハリウッド映画の平均制作費は1本約4000万ドル(約46億円)なのに対して、アレン監督の場合は1本約1500万ドル(約17億円)前後で制作してきた。だからこれまでアレン監督は制作会社に芸術性を追求する自由を与えられてきたのかもしれない。
「わたしはこれまでとても運がよく、ちょっと詐欺師みたいでもあった。米国の映画業界で生きていながら、芸術性に関しては完全に自由でいられたからね。誰もわたしの脚本を読まないし、キャスティングについても口を出さない。常にわたしが最終決定を行ってきた」
さらに、冗談をいっていると思われてきただろうが、と前置きした上で、「わたしはよく言ったよ、『わたしと偉大さの間に存在するのはわたしだけだ』ってね」
■米国から欧州へ
ニューヨークはアレン監督の生まれ故郷であり、アレン作品の真の主役だと考えている批評家も多いが、近年、監督は撮影場所を欧州に移している。これについて監督は、ハリウッドの制作会社が監督の作品に対する関心をなくしていること、さらに英国、スペイン、フランス、イタリアなどの資金提供者が監督を大歓迎していることを理由に挙げた。
「(米国の)映画制作会社は、こう言い始めたんだ。『われわれはただ紙袋に金を詰めてあなたに渡し、あなたがわれわれに映画を渡すというのはもう嫌だ。映画が何を描いているのか、誰が出演するのかを知りたい』ってね。そのとき突然、ロンドンからお呼びがかかった。彼らは資金を与えてくれて、映画に誰が出演するかなんて、気にしなかったんだ」(c)AFP/Michel Comte