【9月18日 MODE PRESS】高校で進路を決めようとした時、「なりたいことが色々あり過ぎて困った」という。ダンサー、美容師、バンド……。それで「大人のひとに相談したけれど、ダメだった」。結局、母が洋裁をやっていて、「服を作る仕事は地に足が着いているのでは」とデザイナーへの道をとりあえず選んだのだという。

■なりたいもの沢山、様々な経験も沢山

 そこで、衣服デザイン科のある女子美に入った。デザイナー志望の学生が多く、「勉強しているうちに触発されて、やっとリアルになった」。卒業したがそのまま職に入るのは不安で、エスモードへ。その後、もうちょっと勉強したくなって、パリのスチュディオ・ベルソーで1年間学んだ。

 帰国後、デザイナーズブランドに就職。品番取りやサンプル管理などの事務を経験した。半ばひねくれて、もっとビジネスの勉強を、と渋谷109系のブランドにも勤めた。やっと服作りを任されたが、「これは売れない」と窓際状態にされた経験も。

■自己表現できる服、作りたくて

 そんな曲折を経て、「やはり自分が作りたい服を作る立場に」と「フラボア」を立ち上げた。その後、05年にエイ・ネットに入社、新たに「メルシーボークー、(mercibeaucoup,)」を立ち上げ、06年秋冬東コレでデビューした。

 作りたい服とは? 「自分が着ていて楽しくて、自己表現ができる服。男うけしようとするんじゃなくて」。デザイナーとしての基本的姿勢は「どうしたらみんなに喜んでもらえるか」と考えることだという。喜んでもらえることへの感謝の気持ちを込めたのがブランド名の由来だ。

■毎日の身近な生活で発見することヒントに

 毎日の生活は忙しく規則的だ。午前中から夜の11時前後まで会社で仕事。帰宅して入浴後にメールをチェック、ストレスを取ってくれる「電気椅子」に30分くらい座ってから寝る、ざっとそんな具合だ。「毎日の身近な生活の中でみつけること、たとえば息子のテレビゲームなどがデザインのヒントになる」という。

■とにかく洋服が好きで、おしゃれが好きなこと!

 デザイナーになるためには、「とにかく洋服が好きで、おしゃれが好きなこと」。それから、クロッキーをたくさんやって絵が描けるようになることだという。そして、興味をもったことにのめり込んでみること。

 「私も、パン作りとか変なことにいっぱいのめり込んだ。そうすると意外な発見がたくさんあって、それが後になって色々と役に立つものです」

 最後に一つ聞いてみた。いま、ファッションに必要なことは?

 答えはきっぱりとしていた。「ハートです!」(c)MODE PRESS