【9月8日 AFP】8月に英国の畜産農家で家畜伝染病の口蹄疫が発生した問題で、英衛生安全庁(Health and Safety ExecutiveHSE)は7日、ウイルスが近くの研究所の排水管から漏えいし、洪水や車両の移動によって家畜に感染した可能性が高いとする報告を発表した。
 
■研究所の排水管から汚染した水が周辺に

 衛生安全庁は、感染が確認された畜産農家に近いサリー(Surrey)州パーブライト(Pirbright)の排水網を中心に調査を実施した。その結果、国立の「家畜衛生研究所(Institute of Animal HealthIAH)」の敷地から汚水の排水を行っている管に水漏れが発見されたという。

 当局は、7月に発生した洪水で研究所からウイルスが流れ出し、付近の農場地帯を走行していた車両のタイヤに付着して運ばれた可能性があるとみている。

 この研究所は、民間の動物用医薬品メーカー「メリアル・アニマル・ヘルス(Merial Animal Health)」の研究所と用地を共有しているが、調査ではどちらの施設が感染源かは、特定できなかったという。

 衛生安全庁のジェフリー・ポッジャー(Geoffrey Podger)最高長官は、「口蹄疫がパーブライトから発生したことははっきりしているが、具体的な感染源は特定できない」と述べている。

■指摘される研究所施設の老朽化

 衛生安全庁の報告書の中で問題点を指摘されたIAHについて、独立した調査により評価を下したBrian Spratt教授は、「調査の結果、メリアル側のバイオセキュリティーには全く問題がなかったが、IAHの施設が老朽化し修繕の必要があったことが判明した。IAHは安全性について、慢心があったことを示す証拠が見つかっている」と説明した。

 ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は、口蹄疫の発生時、休暇を打ち切って迅速に対応したことから高い評価を得ていた。しかし、国営の研究施設の安全対策に問題点が指摘されたことから、この評価が一転する可能性もある。(c)AFP