【9月11日 AFP】中国国家統計局(National Bureau of StatisticsNBS)が11日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、豚肉などの食品価格の高騰を背景に前年同月比6.5%上昇、年初比3.9%上昇し、インフレが過去11年近くみられなかった速度で進行していることが明らかになった。また、貿易黒字も急増しており、政府が金利引き上げをはじめとする金融引き締め措置を実施する可能性が出てきた。

 CPIの6.5%上昇は、2007年通年の政府目標値である3.0%の2倍以上の水準。7月の5.6%からも急上昇し、1996年12月以来の高水準となった。

 一方、8月の中国の貿易黒字は249億7000万ドル(約2兆8000億円)と、6月の269億1000万ドル(約3兆1000億円)に次ぐ過去2番目に高い水準だった。

 エコノミストらによると、2007年通年での貿易黒字予想は2500億ドル(約28兆4000億円)超と、2006年の1774億7000万ドル(約20兆1800億円)を大きく上回る見通しで、同国と主要貿易相手国の緊張が高まることは必至だという。

 これに対し、政府は迅速な措置をとるもよう。中央銀行は今年すでに金利を4度、預金準備高を7度引き上げている。

 米証券大手のゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のエコノミストは「中央銀行はインフレ率の急上昇を受け、(年内に)さらに2度の金利引き上げを含む、決定的な金融引き締め措置に出るとみている」と指摘する。

 精肉価格の高騰は、食費が収入の3分の1を占める中国の家庭にとっては深刻な問題だ。同国で頻繁に利用される豚肉の価格は今年、飼料価格の上昇や豚呼吸器系疾患の発生で大量の豚が処分されたことを受けて急騰した。

 エコノミストらは、5年ごとに開かれる共産党大会を来月に控えた微妙な時期である現在は特に、社会秩序の安定につながる食品価格の管理が政府の最優先課題だと指摘する。 (c)AFP/Dan Martin