【9月5日 AFP】(一部更新)イスラム文化を体現する優れた建築プロジェクトに贈られる2007年度アーガー・ハーン建築賞(Aga Khan Award)が4日、発表された。今年度は、レンガ造りの市場から現代建築の大学キャンパスまで、9件の多彩な建築が選ばれた。

 発表は、マレーシアの首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)で行われた。かつて世界一の高さを誇った同地のペトロナス・ツイン・タワー(Petronas Twin Towers)も受賞歴がある。賞金総額は50万ドル(約5800万円)。

 今回受賞したのは、英国の建築家ノーマン・フォスター(Norman Foster)氏設計のマレーシアのペトロナス工科大学(University of Technology Petronas)、イエメン・シバーム(Shibam)の「旧市街再生計画」の復興プロジェクトをはじめとする9件。

 必要最小限のスペースを生かし周りの景観を映し出すプール、石造りのベンチ、木造の陸屋根(ろくやね)を、歴史ある2本のイチジクの木を中心に配置したレバノン・ベイルート(Beirut)のSamir Kassir広場。

 500人の職人・熟練工が伝統的な手法を用いて、野ざらし状態になっていた16世紀の複合建築を修復したプロジェクトの成果、イエメンのRadaにあるAmiriya Complex

 人工的な冷房に頼らない低エネルギー利用の熱帯高層建築として評価が高いシンガポールの28階建てMoulmein Rise Residential Tower。 「素朴なレンガだけでアーチ天井、ドーム、アーチを創造」したその手法が高く評価されたブルキナファソ・クドゥグ(Koudougou)の中央市場の広がりのある建築群。

 エチオピアの在アディスアベバ(Addis Ababa)オランダ大使館は、治安・警備の要請を満たしながらも、都会の真ん中に塀に囲まれたユーカリの林を出現させた手法に特徴がある。

 キプロスの城壁に囲まれたニコシア(Nicosia)の都市復興は、歴史地区の再生のために、ギリシア系の南部とトルコ系の北部の住民が協力して完成させた。

 受賞建築の中では最小のバングラデシュの小学校校舎は、4か月かけて建築家、地元の職人、生徒、保護者、教師が伝統的な手法と素材を駆使して革新的なひねりのある構造を実現したことが受賞の決め手となった。

 アーガー・ハーン建築賞は1977年に創設され、3年ごとに授賞式が行われる。(c)AFP