【8月30日 AFP】今月、87歳で亡くなった「財布のひもが固い」ことで有名だった米国のホテル女王、レオナ・ヘルムズリー(Leona Helmsley)さんが、死後もその評判を高めている。なんと、莫大な遺産のうち2人の孫には何も遺さず、愛犬のマルチーズ「トラブル(Trouble)」に1200万ドル(約14億円)もの大金を残したのだ。

 ヘルムズリーさんの遺言は28日、ニューヨークの裁判所で読み上げられた。その中で、愛犬トラブルには最高額となる1200万ドルの遺産が遺され、トラブルが死亡した際には、ヘルムズリーさんと1997年に亡くなった夫のハリーさんの脇に埋葬するよう記されていた。ヘルムズリー家の壮大な墓は、残された300万ドル(約3億5000万円)の信託財産により永遠に維持される。

 マルチーズのトラブルは、ヘルムズリーさんが所有したホテルチェーンの広告に出演し、注目を集めたことある。

 ヘルムズリーさんの徹底的な仕事至上主義、短気さ、時に非情といわれた一面や、財布のひもの固さは有名で「クイーン・オブ・ミーン(Queen of Mean、けちの女王)」とあだ名をつけられるほどだった。

 ヘルムズリーさんの遺族には弟のほか、孫4人、ひ孫12人がいる。弟には1000万ドル(約11億5000万円)の遺産とともにトラブルの世話が託され、孫2人には少なくとも年1回は父親の墓参りをすることを条件に、それぞれ500万ドル(約5億8000万円)が残された。しかし残りの孫2人は「彼らも知っている理由により」、相続から除外された。

 40億ドル相当とされる保有株式は、慈善活動用の信託基金にされるという。

 ヘルムズリーさんは1972年、不動産王ハリー・ヘルムズリー(Harry Helmsley)さんと結婚。ハリーさんとともにエンパイアステートビルを含むニューヨークの一等地の不動産や、全米に展開するホテルチェーンの運営を手がけた。

 一方、保有する巨額資産とは裏腹に「クイーン・オブ・ミーン」と呼ばれた異名にふさわしく、数十万ドル相当の宝石に課せられる税金を免れたとして、1992-93年にかけて脱税の罪で服役していたこともよく知られていた。(c)AFP