【8月29日 AFP】住居を持たずにインターネットカフェなどでの寝泊まりを続ける「ネットカフェ難民」の数が約5400人に上ることが、厚生労働省が28日に公表した調査結果で判明した。「ネットカフェ難民」に関する実態調査はこれが初めてで、拡大する格差社会を証明する調査結果となった。

■インターネットカフェが様変わり

 全国各地にあふれるインターネットカフェや「まんが喫茶」のほとんどは24時間営業。パソコンのほかにもソファやまんが本などが置かれ、ドリンクも提供されている。

 かつては深夜のネットカフェ利用者の多くが終電を逃した会社員などだったが、今では様変わりしたようだ。

「ネットカフェ難民」の社会問題化をうけ、厚労省は全国のインターネットカフェ3000件の運営者および顧客を対象に調査を実施。

■「ネットカフェ難民」の実態

 同調査によると「ネットカフェ難民」の約8割が男性で52.7%は失業者。ネットカフェに寝泊まりする理由は「収入がないため」だと回答している。このほか13.8%が「家族との関係が悪化した」ことを理由にあげた。

「難民」の平均月収は11万3000円で、都内で最低賃金で週40時間働いた場合の収入とほぼ同じ額だ。

 都内のインターネットカフェの場合、深夜5時間の利用料金の相場は食事付きで約3000円。シャワーは30分間で200円。下着も販売している。

■国も支援策を検討

 厚労省では「ネットカフェ難民」への支援策として、就職支援や部屋探しのアドバイスを提供するカウンセリングサービスなどを検討中だという。

 かつて、経済大国となった日本は世界でもまれにみる平等社会を実現した。しかし、1990年代の不況以来、社会的セーフティ・ネットが後退し格差が生まれた。

 戦後最長の経済成長を背景に、与党自由民主党(Liberal Democratic Party)は経済成長を実現すべく、構造改革路線を推進してきた。

 しかし、前月の参院選で自民党に圧勝した野党第1党の民主党は、改革は強者と弱者および大都市と地方との間の格差を拡大する一方だとして、自民党の改革路線を批判している。(c)AFP/File Jewel Samad