【8月22日 AFP】高熱や内出血などの激烈な症状を引き起こす致死性のマールブルグ(Marburg)病ウイルスについて、アフリカに生息するオオコウモリが感染の媒介となっていることをガボンと米国の研究チームが突き止め、22日付科学ジャーナル「PLoS ONE」(電子版)に発表した。同ウイルスを媒介する「自然宿主」は、同病の発見以来40年近くも不明とされてきた。

 マールブルグ病は内出血、高熱、昏睡、腎不全などの症状を引き起こし、通常は発症から1週間でシ ョック死に至る。有効なワクチンや治療薬は存在しない。よく似た症状を引き起こすエボラ出血熱とともに、過去に大流行が発生しており、ヒトや類人猿が発症した場合の致死率は80から90%と極めて高い。

 研究チームは、ガボンとコンゴ共和国で2005年と2006年に採集したルーセットオオコウモ リ(Rousettus aegyptiacus)283匹のうち4匹から、マールブルグ病のウイルスRNA(リボ核酸)を発見。さらに、これとは別に同じ種のコウモリ29匹の血清学的検査を行ったところ、同ウイルスの抗体の痕跡が見つかり、陽性と確認された。

 霊長類以外で自然感染による陽性反応が出たのは、これが初という。また、アフリカのこの地域でマールブルグ病が報告されたのも初めてで、今後流行する可能性が当初考えられていたよりも高くなったと、研究は指摘している。

 ルーセットオオ コウモリは、サハラ砂漠以南のアフリカ全域に生息する果実食のコウモリ。研究では全部で10種類のコウモリ1100匹について調べたが、ほかの種のコウモリからはマールブルグ病ウイルスRNAも抗体も検出されなかった 。

 マールブルグ病は、40年前にドイツの研究所職員らの間で初めて発生が確認された。近い性質のエボラ出血熱ウイルスがガボンとコンゴ共和国のオオコウモリから発見されていることや、夜行性のコウモリが群生するコンゴ民主共和国の金鉱でマールブルグ病が発生していることから、コウモリが自然宿主ではないかとの見方が強まっていたが、確証はなかった。

 マールブルグ病はアンゴラで2004年10月から2005年7月にかけて大流行し、公式統計によれば感染者374人のうち329人が死亡した。また、世界保健機関(WHO)の前週の発表によると、最近ウガンダの鉱山でも感染が報告され、検査のためにコウモリが捕獲されたという。(c)AFP