【8月16日 AFP】ベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領は15日、大統領の任期制限の撤廃などを盛り込んだ憲法改正案を議会に提出した。

 この改正案には、大統領の2期以上の再選を禁止する憲法230条について、多選を可能にするほか、現在6年と規定されている任期を7年に延長することなどを要求。中央銀行の自律性を剥奪(はくだつ)し、大統領の直轄に置くことなど、計350条のうち33条の改正を求めている。

 チャベス大統領はまた、軍を再編成し、「愛国的で反帝国主義的」な部隊として統一する案も提唱した。

 ベネズエラ議会は、2005年の選挙を野党がボイコットしたため、与党系が全議席を占めており、改憲案は承認がほぼ確実視される。その後、国民投票にかけられる見通しだ。

 大統領は議会で、自身が「すでに世界で最も先進的」だとする憲法の改正について、「古く覇権主義的な寡頭政治と、搾取的な資本主義の体制を完全に終わらせ、新たな国家の誕生を完成させるものだ」と説明した。

 今回の改正の狙いは、自身の提唱する「21世紀の社会主義」を強化し、地元政府に対する管理を強める点にある。

 野党はこの改憲案を「独裁的」でキューバの焼き直しにすぎないものと糾弾。改憲について審議する憲法制定会議の設立を求めたが、チャベス大統領は要求を却下した。

 大統領は、「野党はわたしが権力を大統領に集中させ、永久に権力の座を占有するつもりだと批判しているが、そのつもりは全くない」と反論、大統領の選出は「国民次第」だと強調している。

 世界第5位の石油輸出国のベネズエラは、大統領が「石油社会主義」と称す新しい政治的、経済的秩序の構築を目指している。(c)AFP/Victor Flores