【8月12日 AFP】フランス人高校生がインターネットにハリー・ポッター(Harry Potter)シリーズ完結編『Harry Potter And The Deathly Hallows(ハリー・ポッターと死の秘宝<仮題>)』の無断翻訳版をネット上に公開したとを受けて11日、フランスの出版社は訴訟を起こさない意向を示した。

16歳の少年に賠償金の請求をしない合意を作者、J・K・ローリング(J.K. Rowling)氏と交わしたと仏語版の出版元Gallimardは明らかにした。

仏南部エクサンプロバンス(Aix-en-Provence)に住む少年は、一週間前に警察に身柄を拘束され、取り調べを受けた際に金銭目的で無断翻訳を行ったのではないと語っている。

捜査官らはこの少年が公開した仏語版の「ほとんどプロフェッショナル」といえる質の高さに驚いたという。掲載されたサイトは、現在は閲覧不可能となっている。

Gallimardと作者ローリング氏は、非難したかった相手は、大衆の興味の的をうまく利用しようと同調する翻訳家の組織網であり、ファンではないと語った。Gallimardの広報担当者は11日、出版社は警察の捜査を許可したが「その目的は金銭的なものではなく、著者の権利を守ることだ」と強調した。

警察はこの件に関し、さらに複数の関係者の取り調べを行う方針だという。無断翻訳版の公開に関与した人物には、詐欺行為として重い罰金刑が科される可能性がある。

無断翻訳版の第1章は、7月21日の英語版の発売後間もなくインターネットに公開され、ダウンロードが可能な状態となった。わずか2、3日後には全体の翻訳が公開された。完結編の正式な仏語版が出版されるのは10月だ。

Gallimardはフランスの海賊版対策チームが、海賊翻訳本をネット上に公開している組織網を調査する中で、少年の翻訳版を発見したと語った。Gallimardは作者ローリング氏との共同声明を発表し「海賊版は著者や制作者の権利を侵すものだということを人々に理解してもらうため、捜査に協力する」と宣言した。

これまでの6巻のハリー・ポッター・シリーズは64言語に翻訳され、全世界で3億2500万部を売っている。完結編については、ファンは事前に内容がインターネット上で漏れるのを回避しなければならなっかたが、世界同時発売日には1100万部以上を売り上げた。(c)AFP