【8月8日 AFP】国境警備から高齢者介護まで、さまざまな目的に即したロボット開発の最前線に立つことを目指す韓国が、ロボットの倫理規定策定に着手した。

 「2013年までにすべての家庭にロボットを」という野心的な目標を掲げる韓国は、世界初の「ロボット倫理憲章(Robot Ethics Charter)」草案作成プロジェクトを発足させ、年内には内容を公表する予定。


■ヒトとロボットの共存時代を見据えた広範なガイドライン

 「ロボット倫理憲章」はロボットを望ましくない、あるいは危険な目的で使用することを規制するための広範なガイドラインといえる。科学者、医師、心理学者、ロボット開発者などからなる12人の草案作成委員会を率いる明知大学校(Myongji University)のKim Dae-Won教授は、「ロボット技術の進歩や、ヒトとロボットとの共存方法について基準を明確にしたい」とし、「ヒトとロボットが共存する社会はわれわれが考えるよりも早く、おそらく10年後には実現するだろう」と予測する。

 主要な内容は、ヒトがロボットを統制する、違法な使用法を阻止するという原則に加えて、ロボットにより取得されたデータの守秘、ロボットの身元確認と追跡手段を確保することなどになる予定。

 ただし、Kim教授によると、軍用ロボットについては、法的責任の負担からロボットメーカーの開発の障害になるのを避けるため、この憲章とは別の規定を必要とするという。


■ロボット開発でトップを狙う韓国

 韓国は現在、ロボット工学で日本や米国に遅れを取っているが、優れた情報・コミュニケーション技術を武器に、消費者のさまざまな要求に応えるロボットを開発し、この分野で先頭に立つことを目指す。

 ロボット産業を経済成長の新たな推進力とする政府の産業政策をメーカーも支持しており、2004年以来、政府は毎年1000億ウォン(約130億円)をロボット産業に投じている。

 家事や高齢者介護を行うロボットの開発には現在300人の韓国科学者が従事しており、2013年の実用化を目指している。

 米マイクロソフト(Microsoft)の創設者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は、ロボット業界は現在、創成期にあり、30年前にコンピュータ社会が迎えたのと類似していると指摘する。2050年までには食器洗いや子守はロボットがする時代が来ると、多くの科学者が予測している。(c)AFP/Lim Chang-Won