【8月7日 AFP】デジタル音楽に広く使われているファイル形式「MP3」の技術をめぐり、仏アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)が米マイクロソフト(Microsoft)を特許侵害で訴えている訴訟で、米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)の連邦地方裁判所は6日、マイクロソフトに15億ドル(約1800億円)の支払いを命じた2月の陪審評決を覆し、特許1件について同社による侵害はなかったと認定した。2月の評決は、デジタル音楽業界を揺るがしかねない判断として論議を呼んでいた。

 焦点となっているのは、マイクロソフトのメディア再生ソフト「ウインドウズ・メディア・プレーヤー(Windows Media Player)」に使われているオーディオ技術のMP3。アルカテル側は、同ソフトに使われているオーディオファイルの圧縮・復元技術は自社の特許2件を侵害していると主張。これに対しマイクロソフトは、独フラウンホーファー(Fraunhofer)にライセンス料1600万ドル(約19億4400万円)を支払っており、MP3技術の利用は合法だと反論していた。

 連邦地裁のRudi Brewster判事は6日の決定で、特許のうち1件について、マイクロソフトによる侵害はなかったと認定。また、アルカテルの特許侵害訴訟を成立させるためにはフラウンホーファーが訴訟に加わる必要があると指摘した。

 この訴訟は、ルーセントがアルカテルに買収される以前の2003年、マイクロソフトや、同社と提携しているデル(Dell)やゲートウェイ(Gateway)などのコンピューターメーカーを相手取って提訴。自社の特許技術を使用されたと訴えていた。

 2月の陪審評決はデジタル音楽業界に衝撃を与え、これが先例となって、MP3技術をライセンス利用している多数の企業を相手取った懲罰的損害賠償が相次ぐのではないかとの懸念が浮上していた。

 MP3のオーディオ技術はマイクロソフトのほか米アップル(Apple)やソニー(Sony)などもライセンス利用しており、「iPod」や「ウォークマン(Walkman)」などの製品に使用されている。(c)AFP