【8月7日 AFP】東ティモールのジョゼ・ラモス・ホルタ(Jose Ramos-Horta)大統領は6日、シャナナ・グスマン(Xanana Gusmao)前大統領を次期首相に指名すると発表した。これに対し、東ティモール独立革命戦線(フレティリン、Fretilin)を率いるマリ・アルカティリ(Mari Alkatiri)前首相は「違法」だと主張、混乱が予想されている。

 憲法には首相の指名について明記されておらず、各党の議論は物別れに終わったため、ホルタ大統領が指名した。

 ホルタ大統領は記者団に対し「4党連合(Alliance of the Parliamentary MajorityAMP)に組閣を求めることを決めた。4党連合はグスマン前大統領の首相任命を提案したため、それを受け入れた」と述べた。グスマン氏は8日に就任する。

 大統領はフレティリンに対し「これを敗北と考えないでほしい。フレティリンは経験と能力を持つ重要な政党で、議会で最良の野党となるだろう」と述べ、この決定を受け入れるよう求めた。

 一方、フレティリンを率いるアルカティリ前首相は「憲法に反しており、完全に違法だ」と反発している。

 フレティリンは6月に行われた定数65議席の議会選挙で、過半数を大きく下回る21議席を獲得した。しかし同党は単独獲得票が最も多かったことを理由に、組閣は同党が行うべきだと主張。また、4党連合の結成が選挙後だったため連立は無効だと強調した。

 発表直後、首都ディリ(Dili)では抗議デモが行われ、投石や小規模の衝突が発生、治安部隊が催涙ガスで鎮圧を図った。死傷者は報告されていない。

 ポルトガル、次いでインドネシアの支配下にあった同国は、今もオーストラリア主導の国連平和維持軍が駐留し、全人口の10%にあたる推定10万人が難民キャンプで生活している。東ティモールは最貧国の1つで、国の発展のためには課題が山積している。(c)AFP