【8月2日 AFP】インド北西部、ジャム・カシミール州(Jammu and Kashmir)のラダック(Ladakh)地方は、チベット文化の影響が色濃く残る「小チベット」と称されるヒマラヤ山岳地帯。

 ここで、旅行者に昔ながらの生活体験を提供し、かつ野生動物を保護するという先駆的な観光プログラムが実施されており、現地の生態系保護の鍵を握る試みとして注目されている。

 「ヒマラヤ・ホームステイ」と呼ばれるこのプログラムは、ラダック地方に生息する絶滅危惧種のユキヒョウ(snow leopard)の保護活動として、2002年にNPO団体「ユキヒョウを保存する会(Snow Leopard Conservancy)」が立ち上げた。

 家畜を狙うユキヒョウをラダックの住民はそれまで毎年、駆除してきた。ヒツジ、ヤギ、ヤク、そしてウシとヤクの交配種のゾーなどからなる家畜のおよそ13%がユキヒョウに襲われる被害にあっていたため。

 「住民にユキヒョウを殺さなくてもよいようしむけることが必要だった」と同団体代表のRinchen Wangchuckさんは語る。

 新プロジェクトにより住民は新しい収入源を手に入れた。

 「ありふれた民宿を経営したい」という住民の望みを「保存する会」が支援し、収入増と自然環境保全の絶妙なバランスを保つ観光コンセプトを作り上げた。

 開始から5年、ホームステイ・プログラムは、ヘミス(Hemis)国立公園やシャム・ザンスカル(Sham and Zanskar)山脈の登山客に宿泊施設と食事を提供し、自然を破壊せずに観光収入が得るエコ・ツーリズムのモデルとして人気を呼んでいる。

 現在15か村の65世帯で旅行者を受け入れており、料金は2人で1晩700ルピー(約2000円)。うち50ルピー(約150円)を除いた全額が受け入れ先の家庭に支払われる。(c)AFP/Tripti Lahiri