【7月31日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ラシド・マクトム(Mohammad bin Rashed al-Maktoum)副大統領兼首相と弟のハムダン・ビン・ラシド・マクトム(Hamdan bin Rashed al-Maktoum)財務・工業相が未成年の少年らを拉致しラクダレースの騎手として働かせたとして少年らの親たちが米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)の連邦地方裁判所に提訴していた裁判で、同裁判所は30日、司法管轄権がないとして訴えを退ける判断を下した。

 少年騎手の親たちは、ドバイ(Dubai)首長でもあるマクトム首相らが少年らを拉致しラクダレースの騎手として劣悪な環境で酷使しているとして、同裁判所に集団訴訟を起こしていた。原告団によると、なかにはわずか2歳の子どもも含まれていたという。

 原告側は、マクトム首相らが所有する複数の企業がフロリダ州で事業を行っていることを根拠にフロリダ州の裁判所に提訴することができるとの立場を取っていたが、Altonaga判事は一般に認められた企業法の原則に反するとして訴えを退けた。

 一方、訴えられたマクトム氏側は、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)策定プログラムに従い、少年騎手らを母国に帰還させ補償も行っていると反論している。

 また、ラクダレース騎手として連れてこられたバングラデシュ、モーリタニア、パキスタン、スーダンの子どもたちへの補償基金も設立したことを指摘。同基金はユニセフの支援を受けていることを強調したうえで、基金は「唯一の法的救済措置」として元少年騎手らの合意も得ていると主張した。

 しかし、原告側は、ユニセフのプログラムには子どもらに強制労働を科した使用主らへの罰則が設けられていないとして反発していた。

 UAEでは、これまでに1000人以上の子どもらがラクダレースの騎手として海外から連れてこられてきたが、海外からの非難をうけた同国政府は子どもの騎手を禁止。代わりに、最近では遠隔操作が可能なロボット騎手を採用するようになっている。(c)AFP