【7月31日 AFP】国際的な非政府組織(NGO)オックスファム(Oxfam)は30日、ヨルダンのアンマン(Amman)でイラクに関する報告書を発表し、激しい戦闘などの影に覆い隠されたイラクの人道的危機を訴えた。報告書によると、2003年の米軍主導によるイラク侵攻以降、イラクの人道的危機は悪化し、およそ800万人が危機的な状態にあるとしている。

 オックスファムとイラクのNGO諸団体は「恐るべき暴力が、一般市民の生命を危険にさらしている一方、戦争による別種の危機がゆっくりと広がっている」と語る。

 45ページにわたるこの報告書によると、イラク国内でおよそ800万人が緊急支援を必要としており、国民の43%が「絶対的な貧困」にあると見積もられている。特に子供たちは生活水準の下降で厳しい状況下に置かれており、栄養失調の子供の割合は、イラク戦争前の2003年は19%だったのに対し、現在では28%に上昇している。

 およそ400万人のイラク国民が食糧援助を必要としているが、政府による配給制度から食糧を得ている割合は、2004年の96%から減少し現在は60%のみだとされる。また、十分な水の供給を受けることができない国民の割合は、2003年の50%から70%に上昇している。さらに報告書は、80%の国民が不衛生な状態に置かれているとしている。

 報告書は、イラク政府や国際社会を、復興や政治制度の構築ばかりに関心を向け、イラク国民の生活を見過ごしているとし、「状況の悪化に十分に対応していない」として激しく非難している。(c)AFP/Hala Boncompagni