ワーグナーのひ孫演出『ニュルンベルクのマイスタージンガー』で「第96回バイロイト音楽祭」開幕
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【7月26日 AFP】第96回バイロイト音楽祭(Bayreuther Festspiele)が25日、バイロイト祝祭劇場(Bayreuth Festspielhaus)で開幕。オープニング作品で、作曲家リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)のひ孫にあたるカタリーナ・ワーグナー(Katharina Wagner、29)が、同劇場最年少で、女性として初めて正式にオペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー(Die Meistersinger von Nuernberg)』の演出を担当した。しかし、来場者からはブーイングを受け散々な評価に終わった。
■「演出の意図」が理解不能
比較的好評だった第1幕と第2幕の後には、温かい拍手がわき起こったたが、第3幕が終了すると、観客からは激しい怒りの声が上がった。
特に、マイスタージンガーたちが特大の局部をあらわにして舞台ではしゃぎ回るなどの性的描写に批判が向けられた。 「あの場面は、『マイスタージンガー』とは何の関係もない。全く不要なシーンだし、原作とも全く異なっている」と64歳のヘルベルトさんは怒りをあらわにする。
しかし、第1幕と第2幕の頃には、まだ熱狂や興奮を口にする観客もいた。 第1幕が終わり会場から出てきた米国人女性は、「本当に素晴らしい!」と興奮気味に感想を述べた。1951年から毎年バイロイト音楽祭を鑑賞しているという80代のブラバントさんも「驚くほど、素晴らしい作品だ」と熱狂気味に語った。
しかし一方で、フランクフルト(Frankfurt)から来たというバースさんは、カタリーナの『マイスタージンガー』の解釈は「宣伝を意識しすぎ」なうえ「原作との矛盾だらけで無意味」と切り捨てた。
同様にスペインのオペラ評論家Roger Alier氏の感想も「ぞっとする演出」と批判的だ。 「歌の内容とは全く無関係な行為が、舞台上で繰り広げられる。カタリーナの意図がさっぱりわからない」と述べた。
■史上例を見ない「新人ばかり」の歌手陣へも、批判が集中
演出だけでなく、音楽面でも公演への評価は散々だった。カタリーナ同様、今回の舞台がバイロイトデビューとなったドイツ人指揮者Sebastian Weigleについて、ベルリンの批評家Lorenz Tomerius氏は「全く楽譜を理解していない」と評する。「演奏は非常に乱雑で、歌も一定水準に達していない」と手厳しい。
また、今回の『マイスタージンガー』の出演者は、ほとんどがバイロイト祝祭劇場への出演は初めてという若手ばかり。これはバイロイト史上、例のないことだ。
ハンス・ザックス(Hans Sachs)役を演じたドイツのバリトン歌手Franz Hawlata、エヴァ(Eva)役のアメリカ人ソプラノ歌手Amanda Mace、マグダレーネ(Magdalene)
役のドイツ人メゾソプラノ歌手Carola Guberら、主要キャストは観客からのブーイングを受けた。
そんな中、ジクストゥス・ベックメッサー(Sixtus Beckmesser)役のMichael Volleとヴァルター・フォン・シュトルツィング(Walther von Stolzing)役のKlaus Florian Vogtの2人のみに温かい拍手がおくられた。
■バイロイト音楽祭の主導権争いは?
今回のオープニング作品は、カタリーナの記念すべきバイロイトデビューであるだけでなく、ワーグナーが131年前に創設した同音楽祭の運営を任されるチャンスも掛かっていたことから、入念に準備を重ねたものだった。
バイロイト音楽祭の運営を巡っては、ワーグナー家の子孫たちが数十年にわたる争いを続けている。1951年以来、同音楽祭の運営を担当しているワーグナーの孫、ヴォルフガング・ワーグナー(Wolfgang Wagner、87)さんは、2人目の妻との間にできた娘、カタリーナを後継者にと考えている。しかし、カタリーナの義姉Eva Wagner-PasquierさんといとこのNike Wagnerさん(62)も、後継者争いに名乗りを上げている。
バイロイト音楽祭のオープニングは、伝統的に、欧州の著名な政治家や上流階級の人々が訪れる華やかなイベントとして知られる。今回も、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相と欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ(Jose Manuel Barroso)委員長などの大物政治家のほか、ドイツのエンターテイメント界からは、TV司会者のトーマス・ゴットチョーク(Thomas Gottschalk)、歌手のRoberto Blanco、ソーシャライトのプリンセス・グロリア(Princess Gloria)が姿を見せた。
音楽祭2日目の26日には、2005年以来となる『タンホイザー(Tannhaeuser)』が、Philippe Arlaud演出で上演される予定。(c)AFP
■「演出の意図」が理解不能
比較的好評だった第1幕と第2幕の後には、温かい拍手がわき起こったたが、第3幕が終了すると、観客からは激しい怒りの声が上がった。
特に、マイスタージンガーたちが特大の局部をあらわにして舞台ではしゃぎ回るなどの性的描写に批判が向けられた。 「あの場面は、『マイスタージンガー』とは何の関係もない。全く不要なシーンだし、原作とも全く異なっている」と64歳のヘルベルトさんは怒りをあらわにする。
しかし、第1幕と第2幕の頃には、まだ熱狂や興奮を口にする観客もいた。 第1幕が終わり会場から出てきた米国人女性は、「本当に素晴らしい!」と興奮気味に感想を述べた。1951年から毎年バイロイト音楽祭を鑑賞しているという80代のブラバントさんも「驚くほど、素晴らしい作品だ」と熱狂気味に語った。
しかし一方で、フランクフルト(Frankfurt)から来たというバースさんは、カタリーナの『マイスタージンガー』の解釈は「宣伝を意識しすぎ」なうえ「原作との矛盾だらけで無意味」と切り捨てた。
同様にスペインのオペラ評論家Roger Alier氏の感想も「ぞっとする演出」と批判的だ。 「歌の内容とは全く無関係な行為が、舞台上で繰り広げられる。カタリーナの意図がさっぱりわからない」と述べた。
■史上例を見ない「新人ばかり」の歌手陣へも、批判が集中
演出だけでなく、音楽面でも公演への評価は散々だった。カタリーナ同様、今回の舞台がバイロイトデビューとなったドイツ人指揮者Sebastian Weigleについて、ベルリンの批評家Lorenz Tomerius氏は「全く楽譜を理解していない」と評する。「演奏は非常に乱雑で、歌も一定水準に達していない」と手厳しい。
また、今回の『マイスタージンガー』の出演者は、ほとんどがバイロイト祝祭劇場への出演は初めてという若手ばかり。これはバイロイト史上、例のないことだ。
ハンス・ザックス(Hans Sachs)役を演じたドイツのバリトン歌手Franz Hawlata、エヴァ(Eva)役のアメリカ人ソプラノ歌手Amanda Mace、マグダレーネ(Magdalene)
役のドイツ人メゾソプラノ歌手Carola Guberら、主要キャストは観客からのブーイングを受けた。
そんな中、ジクストゥス・ベックメッサー(Sixtus Beckmesser)役のMichael Volleとヴァルター・フォン・シュトルツィング(Walther von Stolzing)役のKlaus Florian Vogtの2人のみに温かい拍手がおくられた。
■バイロイト音楽祭の主導権争いは?
今回のオープニング作品は、カタリーナの記念すべきバイロイトデビューであるだけでなく、ワーグナーが131年前に創設した同音楽祭の運営を任されるチャンスも掛かっていたことから、入念に準備を重ねたものだった。
バイロイト音楽祭の運営を巡っては、ワーグナー家の子孫たちが数十年にわたる争いを続けている。1951年以来、同音楽祭の運営を担当しているワーグナーの孫、ヴォルフガング・ワーグナー(Wolfgang Wagner、87)さんは、2人目の妻との間にできた娘、カタリーナを後継者にと考えている。しかし、カタリーナの義姉Eva Wagner-PasquierさんといとこのNike Wagnerさん(62)も、後継者争いに名乗りを上げている。
バイロイト音楽祭のオープニングは、伝統的に、欧州の著名な政治家や上流階級の人々が訪れる華やかなイベントとして知られる。今回も、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相と欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ(Jose Manuel Barroso)委員長などの大物政治家のほか、ドイツのエンターテイメント界からは、TV司会者のトーマス・ゴットチョーク(Thomas Gottschalk)、歌手のRoberto Blanco、ソーシャライトのプリンセス・グロリア(Princess Gloria)が姿を見せた。
音楽祭2日目の26日には、2005年以来となる『タンホイザー(Tannhaeuser)』が、Philippe Arlaud演出で上演される予定。(c)AFP