【7月24日 AFP】サウスカロライナ(South Carolina)州で23日に行われた動画投稿サイトユーチューブ(YouTube)を利用した、2008年米大統領選挙の民主党候補者の公開討論会は、現代の選挙運動にウェブが占める役割の大きさを改めて示すものとなった。この2時間の討論会は、米CNNが中継した。

 今回の討論会は、これまで億万長者や裕福なコンサルタント、主要メディアに牛耳られてきた政治に、ウェブカムとコンピューターで武装した市民がウェブの力を借りて意見を表明する機会として位置づけられた。質問者はビデオを通じてイラク、ダルフール、同性愛者の結婚、健康保険、税金、教育などの問題について候補者に質問した。

 用いられた技術こそ斬新だったものの、候補者たちの回答は周到に用意された脚本通りのものだった。

 討論会はユタ(Utah)州のZach Kempf氏のあいさつで幕を開けた。

 若い兵士の母親は、イラク派兵について「この国の政府で政治ゲームが行われている間に何人の兵士が死ななければならないのか」と訴えた。クリントン候補は国のため息子を任務に送り出そうとしているこの女性に感謝し、駐イラク米軍の帰還を開始するための計画を立てる必要があると述べた。一方、オバマ候補は、クリントン候補が2002年にイラク戦争へ賛成票を投じたことを指摘し、当時は上院議員でなかったが、自分はイラク侵攻に反対だったと強調した。

 2人の候補は外交問題でも対立した。もし大統領に就任したら、米国の敵と見なされている、イラン、シリア、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮の指導者と会談するかと尋ねられたオバマ候補は、「会談する。会談しないということは彼らを罰しているという考えに基づいての判断だ」との見解を示した。

 ダルフール難民キャンプからのビデオもあった。難民の子どもたちの後ろに立った3人が、「この子どもたちの親だったと考えてみてほしい」といい、援助の空約束をやめるよう求めた。

 「マサチューセッツのウィル」を名乗る人物からのビデオは、候補者はこの質問に正面から答えないだろうとしながらも、「アフリカ系アメリカ人に対して奴隷制度の賠償はあるのか」を尋ねた。

「メアリー」と「ジェン」と名乗る2人の女性は、候補者に向かって大統領になったら「わたしたち2人が結婚することを認めるか」と短い質問を投げかけた。「キム」と名乗る女性は、ビデオの中でかつらをはずし、現在36歳で乳がんと闘っているが、医療費に悩んでいることを明かした。

 共和党も同様の公開ビデオ討論会を9月17日にフロリダ(Florida)州で開催する。(c)AFP