【7月17日 AFP】米国最大のロサンゼルス(Los Angeles)大司教区の司祭らが数十年間にわたって信者の子どもたちに性的虐待を行っていたとされる事件で、同大司教区が被害者らに和解金6億6000万ドル(約805億円)を支払うことで原告側と合意したことが16日、明らかになった。

 被害者508人を代表する原告側と被告の大司教区側の双方の弁護団が同日、ロサンゼルス高裁に出廷し和解を確認した。これにより、聖職者が関係したスキャンダルとして2002年にこの事件が発覚して以来、5年間におよんだ裁判に終止符が打たれた。

 記者会見で被害者側のRay Boucher弁護団長は、大司教区が各被害者に和解金を今年の12月1日までに支払うことになると説明。また、和解について被害者を罪悪感や恥の意識から解放する意義があると述べた。

 Boucher弁護団長は「今日の和解は、罪を犯したのは卑劣な行為を行った邪悪な人間たちで、被害者側には何の落ち度もなかったと確認するものだ」とした上で、「虐待に関わった司祭らは、子どもたちの若さをもてあそんだ。しかし教会側は、事件の防止策をとるどころか司祭らをかばう側に回った」と司教区側のこれまでの姿勢を非難した。

 このほか、和解の条件にはこれまで機密情報とされてきた司祭らの個人情報の公開も含まれるという。これにより、教会の指導者らが性的虐待事件について、いつ、どの程度知っていたかが明らかになる。

 Boucher弁護団長は、同ファイルの公開は和解金より重要だと語り「50年間にもわたって性的虐待を繰り返してきた司祭らの実態が明らかになる」と期待を示す。

 和解をうけてロサンゼルス大司教区のロジャー・マホーニー(Roger Mahony)司教は15日、被害者らに謝罪を表明している。マホーニー司教は、在任期間中に事件の隠蔽をはかったとして原告側の非難の対象となっていた。

 声明のなかで同司教は、「同司教区の聖職者、教会関係者らの虐待行為の犠牲となったすべての人々に対し、改めて謝罪する」と述べ「このような事件はあってはならないことだ。二度と起こってはならない」と事件の再発防止を誓った。(c)AFP/Rob Woollard