【7月13日 AFP】国産食品の安全性が問われている中国で、段ボールを具材代わりに使用した偽装肉まんが販売されていることが明らかになった。

■店主は食べないという「段ボール入り肉まん」

 メディアが報じたところによると、北京(Beijinjg)市内の露店で、溶かした段ボール片を肉と偽って具にして詰めた「包子(パオズ)」が販売されていた。

 テレビ局が隠し撮りした映像では、細かく裁断した段ボールを工業用化学物質であるカセイソーダ(水酸化ナトリウム)液で溶かして柔らかくし、ここに脂肪分の多い豚ひき肉を少量練り込むという方法で肉まんを製造していた。経営者自身はこの偽装肉まんを食べたことがなく、ほとんどの客は食べても気がつかないという。

 北京の日刊紙「The First」は13日、地元警察にこの露店の閉鎖が要請されたと報じた。

■摘発された有害物質は「氷山の一角」

 中国ではこの数か月、食品・医薬品業界の無秩序と腐敗、偽物品や粗悪品や人体に害をおよぼす可能性がある製品の流通が日常的に報道されるなか、消費者の安全を改善するためにいくつもの取り組みが行われてきた。

 この数か月間で報道された、有害物質で汚染された魚介類、疫病に感染した食用豚、化学物質の混入した歯磨き粉などは、氷山の一角にすぎない。

 10日には、収賄罪などで死刑が確定していた国家食品薬品監督管理局(State Food and Drug Administration)の鄭篠萸(Zheng Xiaoyu)前局長に対し、刑が執行された。政府がこの問題を深刻に受け止めていることを示すのが目的だといわれている。

 だが政府当局者によれば、今回の肉まんの露店経営者のように、監視の行き届かない数え切れない不正営業の取り締まりこそ、監視・規制当局が直面している最も大きな問題の1つなのである。(c)AFP