【7月2日 AFP】中国の初代皇帝といわれる秦の始皇帝(Qinshihuang)陵で、皇帝陵の上に作られたピラミッド形の土の塚の内部から、新たに高さ30メートルの古代建造物が発見された。1日付の国営新華社(Xinhua)通信が伝えた。

 北西部陝西(Shaanxi)省の始皇帝陵で建造物を覆っていたピラミッド塚は高さ51メートル、建造物自体は高さ30メートルだった。発見した考古学者の一人、陝西省考古研究所(Shaanxi Institute of Archaeology)の研究員Duan Qingbo氏によると、建物は有名な「兵馬俑」の近くに位置し、階段状の壁で四方を囲まれている。

 同氏は「現存する歴史書の中に高さ30メートルもの建造物に関する記述はなく、発見は予想だにしないものだった」という。秦始皇帝の魂を弔う目的で作られたと考えられ、陵と同様、建造されて2000年以上たつとみられる。

 新華社通信によると、中国当局はいまだ始皇帝陵の発掘を許可していないため、建物の構造を知る調査はリモートセンシング(遠隔探査)技術を活用して行われた。当局では発掘を許可しない理由の一つとして、歴史上最重要となりうる発見を適正に調査できる考古学的技術が確立されるまで待つ必要性を挙げている。

 紀元前3世紀末近くまでの時代を生き、非常に残忍な手法で中国統一を成し遂げた秦の始皇帝は、中国共産党の創設者、故毛沢東(Mao Zedong)国家主席など、後世の多くの中国指導者が憧れてきた存在でもある。(c)AFP