【6月25日 AFP】アメリカ先住民のスー族(Sioux)が用いていた薬草エキナシア(echinacea)に、風邪のリスクを半分以下にする効果があるとの研究結果が、24日発行の医学雑誌「ランセット」感染症専門ジャーナル「The Lancet Infectious Diseases」7月号に掲載された。

 この研究は、米コネティカット大学(University of Connecticut)薬学部のクレイグ・コールマン(Craig Coleman)助教授率いる研究チームが実施した。エキナシアを使った公開治験14件の結果を比較した結果、エキナシアのサプリメントを飲むと、風邪をひく確率は58%低くなり、治るまでの期間もほぼ1日半短縮される可能性のあることが判明。エキナシアをビタミンCと併用した治験では、風邪を引く確率が86%も減ることが示されたという。

 エキナシアは、ヒナギクに似た植物の関連種9種を意味する言葉。北米に原生し、スー族などの先住民が伝統的に、感染症やヘビにかまれた傷、狂犬病の治療薬として使っていた。

 エキナシアの主成分はアルカミド、チコリ酸、多糖類。風邪ウイルスに対する免疫を活性化させる効果があると見られるが、各成分が別々に効くのか併用で効果があるのか、またはほかの成分が関係するのかなど、仕組みはまだ解明されていない。

 研究チームによると、エキナシアを含有する製品は錠剤、抽出薬、ジュース、チンキ剤、お茶など800以上あるという。ただ、エキナシアの安全性をめぐってはさらに研究が必要で、まだ標準的な風邪の予防、治療薬として医師が推薦できる段階ではないと、コールマン氏らは釘をさしている。(c)AFP