【6月20日 AFP】小説『悪魔の詩(The Satanic Verses)』の作者で、イランの故ルホラ・ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師から1989年に死刑宣告を受けたサルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏(59)が英国でナイトの爵位を授与された件で20日、イスラム各国に怒りの抗議が広がった。

 パキスタンでは新たなデモが発生したほか、マレーシアでも初めて抗議集会が行われた。 前日にはイランとパキスタン両国で、政府が英国大使を召還し、抗議していた。

 マレーシアの首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)では20日、主要野党の全マレーシア・イスラム(Pan-Malaysia Islamic)党の党員20人が英国領事館前で約30分にわたってデモを行い、「英国よ、ラシュディよ、地獄に落ちろ」などと叫んで怒りをぶちまけた。デモ隊とほぼ同数の機動隊が監視する中、20人は英領事に1ページの覚書を渡した。マレーシアではこうした抗議行動が行われることは珍しい。

 同党のアブドルハディ・アワン(Abdul Hadi Awang)総裁は「平和と相互尊重の名の下に、われわれは爵位授与の撤回を求め、英国政府はスパイであるサルマン・ラシュディから距離を置くよう要求する」と声明を発表した。

 パキスタンでは中部の都市ムルタン(Multan)での抗議行動が3日目を迎えた。参加者数百人がラシュディ氏や人型や英国旗を燃やした。同じ集会では今週初め、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)を模した人型も燃やされた。(c)Danny Kemp