【6月20日 AFP】イラクの基準から見ても衝撃的な映像だった。骨と皮のようにやせ細った20人以上の子どもたち。ベッドに縛り付けられたり、排せつ物の上で身もだえたり、一見死んだように見える子どももいる。

 これはイラク駐留米軍とイラク軍が先週、バグダッド北部にある障害児のためのal-Hanan孤児院を捜索して目の当たりにした、悪夢のような光景だ。米CBSテレビが19日のニュースで伝えた。

 CBSで証言した米軍関係者は、「何人もの子どもが床に横たわっていた。みんな死んでいるように見えた。子どもたちの注意を引こうとしてボールを投げると、1人の子が頭を上げて首をかしげたが、また横たわってしまった。それで生きていることが分かった」と語っている。

 al-Hananは政府が運営する施設で、駐留米軍が見つけた少年は24人。米軍広報によると、イラク軍が発見し、米軍の支援で孤児を救出、手当てを受けさせた。多くはひどい虐待を受けた痕があり、十分な食べ物も与えられていなかった。子どもたちはその後、養護施設に送られたが、医師の診断で当初死んでいると思われた子も1人いたという。

 「大量のハエが体にたかっていて、体はまったく動かすことができなかった。生きていることを確認するため、頭を持ち上げて傾けてみなければならなかった。目だけが動き、口の中も、目も、鼻も、耳もハエだらけで、コンクリートの床に寝てできた傷にたかっていた」(前出の米軍関係者)。

 これとは対象的に、施設職員用のオフィスは設備が整い、キッチンの棚は食料でいっぱいだったとCBSは伝えている。

 イラク首相府は、ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相が施設職員の身柄拘束を命じ、調査の実施と責任者の処罰を約束したと発表した。

 しかしCBSによれば、施設職員は逃走し、逮捕できたのは警備員2人のみ。捜索の際にカメラを向けられてポーズを取った女性職員2人も逃走したという。(c)AFP