【6月19日 AFP】イラクのアブグレイブ(Abu Ghraib)収容所で複数の米軍兵士が被収容者を虐待していた行為について、米国政府は17日、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が初めて認識したのは報道を通じてだとあらためて強調し、報道以前に大統領が虐待について知っていた可能性が高いとする元米軍高官の主張を否定した。

 スコット・スタンゼル(Scott Stanzel)大統領副報道官は、「大統領から3年以上前に、虐待についての映像を初めて見たのはテレビだと聞いている」と述べた。

 スタンゼル副報道官の発言は、雑誌『ニューヨーカー(New Yorker)』が掲載した、アブグレイブ収容所に関する調査を担当した退役少将のアントニオ・タグバ(Antonio Taguba)氏の発言に関する質問に答えたもの。タグバ氏は同誌のインタビューに対し、同収容所での米軍警備兵による被拘束者虐待について「大統領は知っていなければならなかったはずだ」と述べていた。

 また、ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)前国防長官についても、事件が明るみになって2か月後が経過した2004年5月6日に同氏が会見した際、アブグレイブでの虐待を記録したおぞましい写真について当初、認識していない、と言われたとしている。タグバ氏は「ラムズフェルド氏は否定したが、彼が見たいと思えば(写真は)入手できたものだ」と疑念を呈した。

 ラムズフェルド前長官は2004年5月7日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、虐待被害について一切分からないと述べた。タグサ氏はニューヨーカー誌に対し、ラムズフェルド氏が「自分自身、それから保身のために嘘をついている多くの人々を罪から逃そうとしていた」と非難した。

 アブグレイブ収容所で看守役の米兵数人が、被拘束者の服を脱がせたり頭に袋をかぶせた上で、綱につないだりピラミッド型に重ならせるなど屈辱的行為を強制し、その様子を写真に収めていた事件は世界を震撼(しんかん)させた。ブッシュ大統領がイラク戦争について後悔を口にした数少ない事件だった。

 タグバ氏は、会見中に虐待の内容を知らないと答えたラムズフェルド氏に対し、「拷問」という言葉を使って、ぬれた床の上で裸にされ、手錠をかけられて転がされた被拘束者に、兵士らが肉体的・精神的に多大な苦痛を与えた様子などを説明したと言う。(c)AFP