【6月15日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)は14日、国防相理事会を開き、米国による欧州へのミサイル防衛拡大計画について協議した。また、国防相らは協議の後、ロシアのアナトーリー・セルジュコフ(Anatoly Serdukov)国防相との会談を控えているが、難航が予想されている。

 加盟全26か国を網羅するNATO独自のミサイル防衛を構築する計画に、米国の防衛網を含めて話し合うのは今回が初めて。米国の計画に対してはロシアが強く反発している。

 NATOのヤープ・デホープスヘッフェル(Jaap de Hoop Scheffer)事務総長は会議の冒頭、「NATOの姿勢は、同盟国全体の安全保障の不可分性、およびNATOの関係国との透明性を原則としており、これにはもちろんロシアも含まれる」と述べた。

 米政府は1月、ポーランドに10基の迎撃ミサイル、チェコにレーダー基地を設置し、コーカサス( Caucasus)山脈の早期警報システムと連携させて、2013年に運用を開始したいとする計画を発表。同計画は、米国が「ならずもの国家」とみなす、イランなどの国々からの攻撃に対抗することを目的している。

 NATOにとって問題は、加盟国のうちブルガリア、ルーマニア、ギリシャ、トルコの4か国は、その国土の一部もしくは全土がこの防衛計画から取り残され、「同盟国の安全保障の不可分性」が損なわれる形になることだ。

 NATOはこの問題を解決するため、米国のミサイル防衛に、通常は戦闘中の部隊を防衛するために利用されるより小型のミサイルシステムを「連結」するとみられている。このシステムは開発中で、2010年までの実用化が期待される。

 今回の協議に先立ち、NATOの防衛計画担当者John Colston氏は「米国のミサイル防衛を主体に補助システムを構築する場合、そのコストはNATOが独自で全加盟国を網羅するミサイルシステムを構築する場合のごく一部にしかならない」と認めていた。

 話し合いに進展があれば、どんな形であれロシアの感情を刺激すると予想される。ロシアは弾道ミサイル実験を実施して米国への対抗姿勢を鮮明にし、欧州に兵器を向ける可能性も示唆している。

 今回の協議と並行してNATOとロシアは、ウィーンの会合で旧ソ連時代の欧州通常戦力(Conventional Forces in EuropeCFE)条約の見直しについて検討している。NATOはこれを認めない構えだが、ロシアは同条約の制限は不公平だと主張している。

 ロシアは2007年後半に選挙を控えていることもあり、この問題をめぐって緊張が一層高まる中、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領に対し、アゼルバイジャンに米・ロ共同でレーダー基地を設置することを逆提案した。これについては両国共に調査を進めている。

 協議の場に到着したオランダのElmert van Middelkoop国防相は、ロシアの提案について「最も興味深いのは米ロ共同だという点だ」と指摘。「NATOがこれについて検討するのは興味深い。この問題解決の一環になるかもしれない」と語った。

 一方でアゼルバイジャンの基地はイランに近すぎるため、長距離ミサイルに対する十分な効果が期待できない可能性があり、NATOは同基地がうまく機能するかどうかについてまだ言明していない。(c)AFP