【6月14日 AFP】パリで来月、1万台のレンタル自転車事業が始まる。市当局は、環境に優しい自転車の利用を促し、自動車から自転車への「交通革命」を目指して、この新政策を実施する。

■24時間いつでも利用可能

7月15日に始まるVelibと呼ばれるこの事業では、利用者は24時間、市内750か所で、クレジットカードなどを利用して自転車を借り、使用後は指定場所に乗り捨てることができる。

 短時間で何度も利用してもらうために、利用料は低めに設定。最初の30分は無料、以後30分ごとに1ユーロ課金される。

 定期利用も低価格に抑えた。年間登録は29ユーロ(約5000円)、短期ならクレジットカードの利用で1日1回限りの利用で1ユーロ(約160円)、または1週間5ユーロ(約800円)で借りることができる。

■世界が注目する自転車レンタル業

 この政策が優れているのは、納税者負担がゼロである点だ。市当局と広告大手ジェーシードゥコー(JC Decaux)と契約することで、同社が市内で優先的に1600の広告パネルを設置する権利と交換に、運営に要する経費を負担することになっている。この契約により、広告料金は市の財源となり、市の財政もうるおうことになる。

 市当局は年末までに拠点は1451か所、自転車台数2万600台まで増やす予定にしており、それまでに20万人以上の利用者を期待している。

 環境に優しく手軽な乗り物、自転車の利用促進政策への関心が世界的に高まる中、大都市における初の試みとなり、リオデジャネイロ、モントリオールなど各地の行政関係者が注目している。

 新政府は大物政治家アラン・ジュペ(Alain Juppe)氏を環境・持続的開発・エネルギー・運輸相に任命するなど環境問題に力を入れる姿勢を示しており、今回の政策はそれと足並みをそろえる形となっている。(c)AFP/Emma Charlton