【6月9日 AFP】英国の人権団体が「テロ容疑者を秘密裏に移送する目的で、米中央情報局(CIA)がチャーターした航空機が英国内の空港に着陸している」と申し立てた疑惑に対して、捜査を行った英国警察長協会(Association of Chief Police OfficersACPO)が8日夜、「この事実を裏付ける証拠は発見されなかった」と発表した。

■英国警察長協会は疑惑を否定し、調査を終了

 ACPOの捜査が開始されたのは18か月前。人権団体リバティ(Liberty)が「テロ容疑者を秘密裏に第三国や米政府運営の刑務所に移送する目的で、同政府のチャーター機が英国内の空港に着陸している」との申し立てを行っていた。

 ACPOは、マンチェスター警察本部長が行った調査をまとめた報告書の中で、「引き渡しをめぐる問題はメディアに大々的に取り上げられ、ここ数か月ですでに公的な報告書も発表されている。マンチェスター警察本部長は、この問題に関する入手可能なすべての情報を精査した結果、リバティの主張を裏付ける『証拠ない』と判断した。第三国で拷問を行う目的で、CIAが英国内の空港を使用して容疑者らを移送しているという証拠はない」と述べている。

■人権団体側は「欧州議会も事実を指摘している」と反論

 だが、リバティのShami Chakrabarti氏は、ACPOの報告が「情報操作」だとして非難。「実際に捜査が行われたのか」と疑問を呈し、警察当局による捜査の開始を要請したという。

 同氏は「我々は18か月以上前に、警察当局に書簡を送り、『英国がCIAの特別引き渡しの中間着陸地として使用されている』との懸念を訴えた。これは信頼性の高い調査結果に基づくものだ」と語る。

 リバティによれば、「英国に着陸した同機は、容疑者に対する拷問の可能性がある刑務所へ向かうもの」であり、「CIAが特別な輸送用にチャーターした航空機は、2001年以降、210回以上英国に着陸している」とも主張している。

 また、「中央情報局(CIA)が欧州に秘密収容所を設置していたとする疑惑をめぐり、欧州議会が設置した調査委員会のマーティ(Dick Marty)委員長(スイス上院議員)は本日午後、特別な『引き渡し』や『上空通過許可』などの秘密合意の存在を認めた報告書を発表した。

 そして偶然にも同日、回答を受け取った。ACPOを代表する形でマンチェスター警察本部長がまとめたという報告書によれば、ACPOはわれわれの申し立てについて、今後、一切捜査を行わないそうだ」と述べた。

 欧州会議(Council of Europe)は、「米国と北大西洋条約機構(North Altantic Treaty OrganisationNATO)加盟国の米同盟国が秘密協定を結び、CIAに対して欧州でテロ容疑者を拘束することを許可していた」との報告書を発表している。(c)AFP