【6月6日 AFP】英南部サセックス(Sussex)州警察は5日、月の満ち欠けと暴力行為との因果関係が証明されたとして、満月の日には警備の警察官を増員すべきだとの見解を発表した。

 同警察広報によると、ブライトン(Brighton)やホーブ(Hove)などの海沿いの都市で、満月の日には泥酔者が特に攻撃的になる事実を発見したという。

 同様の調査は以前にも何度か行われてきたが、統一した結果は出ていない。

 Brighton Argus紙が報じた同警察のAndy Parr警部の談話によると、同警察は2006年の暴力犯罪発生率のグラフと満月周期を比較したところ、一定の相関関係があることが判明したという。

 「人間は満月の日に攻撃的になる習性があるらしい」と語るParr警部は、「警察にとっても役立つ研究であり、興味のある大学院生がいれば大学との共同研究を進めたい」と期待を示す。

 一方、地元サセックス州の人々は、「満月の夜にオオカミに姿を変える狼男が通りをうろついていたのでは」と警察の発表を真剣には受け取っていない。

 ナイトクラブの警備員をしている男性は「夜空を見上げて、もし満月だったら、大変だ!今夜はチンピラどもが街に繰り出すぞと気を引き締めなきゃならないね」

 さらに「今度からは、クラブの客の手の甲までチェックしないといけないな。オオカミの毛が生えているかもしれないから」とまで言う始末だ。

 実際のところ、月周期と暴力行為との因果関係については懐疑的な評価が多い。

 両者の因果関係については、2007年初頭にポーランドの科学者Michal Zimecki教授が確認したとされる。

 一方、心理学専門誌Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌上に1998年に掲載されたシドニー大(University of Sydney)とニューサウスウェールズ(New South Wales)州のManly病院の研究者らによる研究結果によれば、「両者間に特別な関連性はみられない」という。

 伝説によれば、月の引力は、潮の満ち引き同様に人体の75%が水分から成る人間にも影響を与えるという。

 一方、サセックス警察は、ナイトクラブやパブでの暴力行為は給料日に増加するとの調査結果も発見したという。(c)AFP